実務者のための土壌汚染対策法基礎 その14
その他の特例区域
図2:区域の分類(環境省「土壌汚染対策法のガイドライン(第3版)」より筆者作成)
1. 埋立地管理区域
埋立地管理区域は、以下の要件を満たす場合に指定されます。
■要件
前提として公有水面埋立法による埋立て又は干拓事業により造成が開始された土地であって、以下の要件に該当すること。
- 都市計画法第8条第1項第1号に規定する工業専用地域内にある土地であること。
- 上記の土地以外のとき、当該土地や周辺の土地における地下水の利用状況等が工業専用地域と同等以上に将来にわたって地下水利用状況等がないと認められるもの。
埋立地管理区域では、地下水位の管理を行い地下水質の監視の結果、異常がなければ、形質変更時の工事で基準不適合の土壌がその土地の帯水層に触れる、あるいは帯水層より深い場所に及ぶ工事をしても差支えないとされています。
2. 埋立地特例区域
埋立地特例区域は、以下要件を満たす場合に指定されます。
■要件
前提として、その土壌汚染が土地の造成に係る水面埋め立てに用いられた土砂に由来する場合であって以下の要件に該当すること。
- 昭和52年3月15日以降に公有水面埋立法によって埋立・干拓された土地、または、昭和52年3月15日以前に公有水面埋立法によって埋立・干拓された土地
- その土地に人為由来によるおそれがなく、確認された土壌汚染が人為由来ではないこと。
- 確認された土壌汚染が、第一種特定有害物質、第三種特定有害物質及びシアン化合物による汚染ではないこと(シアン以外の第二種特定有害物質による汚染であること)。
- 確認された土壌汚染が、第二溶出量基準に適合すること。
埋立地特例区域では、自然由来特例区域と同様に、形質変更時の工事で基準不適合の土壌がその土地の帯水層に触れる工事をしても差支えないとされ、形質変更時の規制が緩和されています。
また、同一の港湾内であれば、特例区域間の汚染土壌の移動が可能です。
3. 臨海部の工業専用地域における特例
土壌汚染が自然由来または埋立材由来の土地で、かつ、工業専用地域や同等の用途規制が行われている工業港区である場合は、特に「臨海部特例区域」として指定されます。これは、臨海部の工業専用地域は一般の人が出入りする場所ではないため、汚染土壌を摂取する機会が極めて少ない土地であると考えられるためです。
臨海部特例区域では、土地の形質変更に関する内容は年1回まとめて事後届け出すればよいことになっています。これにより、工事着工前の手続き負担を減らし、土地活用を円滑に進めることができます。
【参考】
公益財団法人日本環境協会
土壌汚染対策法のしくみ
環境省ホームページ
土壌汚染対策法ガイドライン第1編 土壌汚染の調査および措置に関するガイドライン(改訂第3版)
改正土壌汚染対策法について(平成31年4月1日施行)
土壌汚染対策法ガイドライン第2編 土壌汚染の運搬に関するガイドライン(改訂第4版)
この記事は エコジャーナルサポーター
コンサルタント、ライターとして活動中
B&Gコンサルティング
藤巻 が担当しました