実務者のための土壌汚染対策法基礎 その6
土壌汚染状況調査について
1. 土壌汚染状況調査とは
「土壌汚染状況調査」とは、もちろんその土地の汚染状況を調べることですが、土壌汚染対策法における「土壌汚染状況調査」とは、法律上有効な調査結果であると認められたものを指します。「土壌汚染状況調査」の結果として認められるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 国が指定する「指定調査機関」が行ったものであること。
- 土壌汚染対策法に規定する方法に則り、地歴調査・試料採取・試料分析がなされたものであること。
- 公正な調査であること。(調査業務の発注者と指定調査機関との間に会社法の親子関係が成立している場合には、原則として、「公正」ではないと判断されます。
法第14条に則って指定区域の自主申請をする場合でも、調査結果が有効と認められるためには、同様に法に則った調査を行わなければなりません。
2. 調査対象となる土地
土壌汚染は地中に存在するので目に見えず、土壌汚染状況調査をしてみないと「どこに・どのような・どのくらいの」汚染が存在するのか分かりません。
しかも、土地は私有財産のため、他者がいつでも調査に入れる場所ではありません。また、住宅や工場として利用している場合には建物等があり十分な土壌調査は行えない場合もあります。
また、土壌汚染対策法では、“汚染物質が存在していること”が問題なのではなく、“汚染物質を人が摂取する経路が存在すること”が問題であるとしているため、むやみに土壌汚染状況調査を求めている訳ではありません。
土壌汚染対策法で定められている土壌汚染状況調査を行う「調査契機」は以下の5つです。
2-1. 調査契機
- 特定有害物質を使用している/していた施設(有害物質使用特定施設)がある土地・・・その施設を廃止する時に調査が必要(法第3条)。ただし、工場操業中などの場合は申請により調査を一時猶予する事が可能(以下、「調査一時猶予」)
- 調査一時猶予を受けている土地で、900m2以上の土地の形質変更をする場合・・・土地の形質変更前に届出を行い、調査命令が出される(法第3条)
- 有害物質使用特定施設が現存し、現在調査一時猶予を受けていない土地で、900m2以上の形質変更する場合・・・形質変更前に届出を行い、都道府県知事等が汚染の恐れがあると判断した場合、調査命令が出される(法4条)
- 有害物質使用特定施設がない土地で、3,000m2以上の土地の形質変更(切土や盛土など)をする土地で、かつ都道府県知事等が汚染のおそれがあると認めるとき・・・土地の形質変更時に届出を行い、都道府県知事等が汚染の恐れがあると判断した場合、調査命令が出される(法第4条)
- 土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が判断した場合・・・都道府県知事等から調査命令が出される(法第5条)
2-2. 自主調査
土壌汚染対策法による調査契機とは別に、自主的に土壌汚染の調査をするケースを、自主調査と呼びます。
自主調査は、主に土地取引に関連して調査が行われることが多くあります。
- 土地売買時に、買主が調査を求める。または、売主が汚染のないことの証明として調査をする。
- 工場跡地等の地歴から、汚染がないか確認のために調査をする。
- 開発中などに汚染がないか確認のために調査をする。
- 会社の資産計上にあたり、土地の価格調査の一環として汚染の有無を調査する。
なお、法第14条に基づいて自主調査結果を報告し、区域の指定を受けることもできます。
この記事は エコジャーナルサポーター
コンサルタント、ライターとして活動中
B&Gコンサルティング
藤巻 が担当しました