「カーボンフットプリント表示ガイド」が公表されました
2025年2月4日、環境省から、「カーボンフットプリント表示ガイド」が出されました。このガイドでは、企業が製品・サービスのカーボンフットプリント(CFP)※を計算し、適切に表示するための基準、手順が示されています。今回は、ガイドの内容等についてご紹介します。
※カーボンフットプリント(CFP:Carbon Footprint of Product)とは、製品・サービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通した温室効果ガス排出量を、CO2排出量として換算した値のこと
■ガイドライン策定の背景
カーボンフットプリント(CFP)の算定に関する取り組みは、2023年3月に公表された「カーボンフットプリント ガイドライン」によって進められています。しかし、表示方法についての課題や、消費者のCFPに対する認知の低さ、さらに欧米では「グリーンウォッシュ」(環境改善の効果が無いのに効果があると称すること)が課題になっていました。
上記の課題を踏まえて設置された検討会を経て公表された「カーボンフットプリント表示ガイド」は、製品・サービスのライフサイクルにおける二酸化炭素排出量を計算し、表示するための基準と手順を明確にするものです。消費者が環境に配慮した購買を行えるよう支援するとともに、企業が自社製品等の環境性能を向上させるための指針となります。
■カーボンフットプリントについて
今回のガイドで対象とされるCFPは、以下の図にもある通り、製品・サービスのライフサイクル全体のGHG量が対象とされています。

■ポイント
ガイドラインの内容から、いくつか抜粋したポイントについてご紹介します。
①表示ガイドの位置づけ
このガイドは消費者のCFPに対する認知度・理解度を高め、CFPの表示を促進することを目的として出されています。ただし、CFP表示を義務付けているものではありません。
②基本的な考え方
ガイドによれば、CFPの表示に際しては、「誤解を招かないようにする」、「情報を正確に記載する」、「対象を明確にする」、「表示を更新する」ことに留意するよう書かれています。例えば「業界で最小のCFP」など、現実的に把握できない情報で表現をすることなどが禁止されています。
③背景情報の表示
CFPを表示する際には、単に結果を記載するだけでなく、以下の背景情報を合わせて掲載する必要があります。
- 算定の単位
- ライフサイクルステージ(ライフサイクルのどこからどこまでの範囲を算定対象としているのか)
- 表示されたCFPの根拠となる算定報告書へのアクセス
(算定報告書は、基本は「カーボンフットプリント ガイドライン」を参照して作成) - (必要な場合)説明文
④他社比較の制限
ガイドでは、他社製品との比較に制限を設けています。これはガイドラインの20ページから詳細に説明されており、公平かつ正確な情報提供を保証するための措置です。製品間の比較は、同一カテゴリー内、同等の用途や性能を持つ製品に限定され、誤解を招くような表示は避けなければなりません。
⑤表示場所
CFPの表示は製品そのものに記載するだけでなく、Web上への表示でもよいとされています。なお、③の背景情報もWeb表示でよいとされています。Webへ表示する場合、表示されている場所をQRコードで示すなどの対応が必要です。

⑥検証
ガイドでは、数値について第三者機関等での検証を求めるものではありませんが、検証した場合は、そのデータへのアクセスを可能にする必要があります。
■おわりに
「カーボンフットプリント表示ガイド」は、製品・サービスのCFPを算定し公開したい企業にとって、表示方法等を考えるために重要な資料だと考えられます。詳細については、環境省の資料をご覧ください。
○環境省:「カーボンフットプリント表示ガイド」の公表について
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました