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実務者のための土壌汚染対策法基礎 その7
土壌汚染状況調査の流れ

3. 土壌汚染状況調査の流れ

土壌汚染状況調査は、調査範囲や調査対象物質などをやみくもに決めるのではなく、資料に基づいて汚染リスクを判断しながら調査内容を決めていきます。

3-1. 資料調査

その土地の地歴などの資料調査、周辺への聞き込み調査、現地調査により、試料採取をする物質の種類の特定と土壌汚染のおそれの区分を行います。対象とする特定有害物質は、第一種特定有害物質の場合は、分解生成物が含まれる場合もあります。

土壌汚染のおそれの区分とは、試料を採取する範囲を決めるために行います。区分によって、試料採取の単位区画の大きさが下表のように変わります。土壌汚染のおそれが多い場所は細かく単位区画(メッシュ)を区切って試料採取を行うこととなります。

表:土壌のおそれの区分と単位区画

区分1:土壌汚染のおそれが「ない」 試料採取等の必要なし 山林、従業員居住施設、グラウンド等
区分2:土壌汚染のおそれが「少ない」 900m2の単位区画で試料採取等を行う 事務所、倉庫、中庭、有害物質使用特定施設と繋がっていない場所等
区分3:土壌汚染のおそれが「比較的多い」 100m2の単位区画で試料採取等を行う 有害物質使用特定施設、有害物質使用特定施設と繋がっている配管、(配管でつながっている施設含む)等


図:土壌汚染のおそれの区分と単位区画の例

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(環境省)

図のピンク色の部分は土壌汚染のおそれが「比較的多い」と認められる土地を含む単位区画なので、10mメッシュごとに1点試料を採取します。
黄色の部分は、土壌汚染のおそれが「少ない」と認められる土地を含む単位区画なので、30mメッシュごとに1点(あるいは5点混合)で試料採取することとなります。

3-2. 試料採取による調査

3-1.の調査で決定した単位区画ごとに試料採取を行い、調査対象物質が含まれるかどうかを調べます。どの調査を行うかも特定有害物質の種類ごとに決められています。

表:特定有害物質と試料採取等の方法

特定有害物質 試料採取等の方法
第一種特定有害物質
(揮発性有機化合物)
土壌ガス調査
または土壌ガス調査を省略して行われる深さ10mまでの土壌溶出量調査
第二種特定有害物質
(重金属等)
土壌溶出量調査および土壌含有量調査
第三種特定有害物質
(農薬等)
土壌溶出量調査

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン(改訂第2版)(環境省)より筆者作成

「表層土調査」では、地表から50cm~1m程度の土壌を採取して調査します。これにより、土地のどこに汚染があるかの平面分布状況を大まかに把握します。

次に、汚染が判明した場所で、「詳細調査」を行います。詳細調査では、地表から10mまたは第一帯水層までの土壌をボーリング調査して、汚染の深度方向の分布を確認します。地下水があれば地下水汚染の有無も確認します。

4. 調査結果の報告

土壌汚染状況調査終了後は、調査結果をもとに報告書を都道府県知事等へ提出します。土壌汚染対策法に基づく調査命令が出された場合は、この報告はしなければなりません。また、法第14条により区域指定の自主申請をする場合も、調査結果の報告が必要です。

報告する内容も土壌汚染対策法で決められており、土壌汚染状況調査結果の他に、「土地所有者等について」「対象土地の所在地等について」「廃止した有害物質使用特定施設について」「指定調査機関について」などが含まれます。

指定調査機関は、法第3条第1項、法第3条第8項、法第4条第2項、法第4条第3項、法第5条第1項に基づいた土壌汚染状況調査と、法第16条第1項に基づく土壌の調査を実施する唯一の機関です。

【参考資料】

環境省ホームページ
土壌汚染状況調査の流れ

公益財団法人日本環境協会ホームページ
土壌汚染状況調査の実施方法について


この記事は エコジャーナルサポーター
コンサルタント、ライターとして活動中
 B&Gコンサルティング
藤巻 が担当しました

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