「毒物及び劇物取締法」概要 その10 立入検査
毒物及び劇物取締法(以下、毒劇法)は昭和25年に制定された法律です。
前回は、「危害防止規定」についてご説明しました。
今回は、「立入検査」についてご説明していきます。
「立入検査」は、毒劇法において規定されています。
第十八条 (立入検査等)
都道府県知事は、保健衛生上必要があると認めるときは、毒物劇物営業者若しくは特定毒物研究者から必要な報告を徴し、又は薬事監視員のうちからあらかじめ指定する者に、これらの者の製造所、営業所、店舗、研究所その他業務上毒物若しくは劇物を取り扱う場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小限度の分量に限り、毒物、劇物、第十一条第二項の政令で定める物若しくはその疑いのある物を収去させることができる。
毒物及び劇物取締法第18条では、保健所の職員等が保健衛生上の観点から、毒物劇物を取扱う者から必要な報告を求めたり、立入検査を実施することが規定されています。このうち、立入検査については、“帳簿その他の物件を検査、関係者への質問、毒物劇物等の収去”とされており、以下のような内容が考えられます。
■帳簿
譲渡や交付時に、帳簿の記載若しくは譲受書の提出を受け、5年間保管しなければなりません。
帳簿を検査することによって、譲渡や交付、販売してはならない者へ譲渡・販売していないかが確認されます。
■その他の物件
貯蔵場所の表示、容器への表示、貯蔵施設が基準を満たしているか、などが確認されます。
「毒物及び劇物取締法」概要 その5 表示
「毒物及び劇物取締法」概要 その7 貯蔵
「毒物及び劇物取締法」概要 その3 取り扱い(盗難・紛失防止)
「毒物及び劇物取締法」概要 その4 取り扱い(漏洩防止)
■毒物劇物等の収去
検査のため薬品等のサンプルを採取し、持ち帰ることです。
■(参考)立入検査の実施状況
令和4年の立入検査施行施設数は、総数として19,203、登録届出許可施設数の29.5%に当たります。
違反発見施設数は1,770、立入検査数の9.2%であり、違反の内訳は、譲渡手続き違反43%、取扱違反28%、表示違反15%、登録違反3%、その他43%(重複あり)となっています。
業種別にみると、一般販売業が60%を占めていますが、製造業や電気めっき業、毒劇物運送業の違反も確認されています。
登録については、更新申請や、開設者変更、取扱品目の範囲の変更、貯蔵施設の変更に関する届出、取扱責任者の届出などについても、ご注意ください。
■参考資料
厚生省ホームページ
毒劇法 通知一覧
毒物劇物監視指導指針の取扱いについて(通知)
毒物及び劇物の適正な保管管理等の徹底について(通知)
令和4年度衛生行政報告例(政府統計の総合窓口(e-Stat))
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました