そうだったのか!地球温暖化とその対策(1)
~地球温暖化とは?~
最近、「地球温暖化」という言葉を普段の生活の中でもよく耳にするようになりました。
2013年11月11日から23日の間、ポーランドのワルシャワで国連の気候変動枠組み条約の第19回締約国会議(COP19)が開催されていました。そこで日本が発表した排出量目標についての賛否や、フィリピンの台風被害で注目された温暖化に伴う異常気象など、地球温暖化についてニュースに取り上げられる機会も多くなりました。
京都議定書が採択されたのは1997年、発効したのは2005年。でも温暖化は過去のトピックスではありません。エコジャーナルでは、IPCCの気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した最最新の報告書(第5次評価報告書)の内容も加味しながら、地球温暖化のメカニズムから国際的な取り組みまでをまとめて解説していきます。
【1】大気の役割は?
地球に届くエネルギーのほとんどは太陽光です。この太陽光が私たちに当たる日中は、地表、大気、海などのすべてが暖められています。(これとは別に地球内部からの熱供給もあります。)夜間になると太陽光がなくなり、地球から熱は逃げていき、私たちの周りは冷えていきます。そしてまた朝が訪れると太陽光により再び地球の気温は上昇します。
この当たり前の現象において、地球を取り巻く大気が大きな役割を果たしています。大気がない場合を想像してみましょう。太陽からの距離が地球とほぼ等しい月にはほとんど大気がありません。そのため、月の昼間は最高で110℃超に達し、逆に夜間は最低で-170℃に達します。地球にも大気が無ければ、これと同じような状態になります。
このような状況にならない理由の一つが地球の大気の存在なのです。この大気には、昼夜や極−赤道地域、地形による温度差を縮める効果と地球から逃げていく熱を吸収する効果があります。この効果の前者を循環(対流)といい、後者を温室効果といいます。
【2】温室効果ガスとは?
温室効果とは、大気が地球から逃げていく熱を吸収することです。
温室効果のあるガス成分は、温室効果ガス:GHG=Green House Gasと呼ばれています。
大気中に含まれている成分の中で特に熱吸収の多い6種類のガスが、京都議定書で評価対象とすべき温室効果ガスとして定められました。水蒸気の地球温暖化係数については諸説あり、濃度も地域や季節で変動が大きいですが、温暖化係数は二酸化炭素より高く、その総量も多いため、温室効果ガスの70%~90%を占めているとも言われています。しかし、まだ水蒸気の関与については、研究過程のものが多く、また水蒸気の発生については人為的に関与できない等の理由から、京都議定書の対象から除外されています。
ガスの温室効果の強さはその種類によって異なり、その違いは二酸化炭素を基準にして係数化した地球温暖化係数(GWP=Global Warming Potential)で表されます。CO2は地球温暖化ガスとして指定されている6種類の中でも、寄与率が高く、また私たちの生活に直結していますので、その排出について注目されています。
温室効果ガス (GHG=Green House Gas) |
地球温暖化係数 (GWP:CO2=1) (Global Warming Potential) |
濃度(2005年) (※1) |
産業革命以前との濃度の比較 |
---|---|---|---|
二酸化炭素 | 1 | 391ppm | 40%増 |
メタン | 21 | 1,803ppb | 150%増 |
一酸化二窒素 | 310 | 324ppb | 20%増 |
ハイドロフルオロカーボン類 | 140~11,700 | 251ppt | |
パーフルオロカーボン類 | 6,500~9,200 | 18ppt | |
六ふっ化硫黄 | 23,900 | 74ppt | |
水蒸気 | (※2) | 0~4% |
※1 ppmは百万分の1、ppbは10億分の1、pptは1兆分の1を表す。
世界の約260か所で継続的に測定されたデータ
二酸化炭素、メタン、一酸化炭素のデータは2011年のデータ。(IPCC第四次報告書より作成)
※2 水蒸気の地球温暖化係数については、諸説あるため、係数が確定していない。
【3】温室効果ガスの発生源はどこか?
二酸化炭素の発生源
二酸化炭素の発生源は、化石燃料の燃焼による二酸化炭素排出が定められた温室効果ガスの56.6%を占めています。具体的には、石炭や石油、天然ガスの火力発電所やコークスを用いる製鉄業が大きな割合を占めます。
我々の身近なところでは、石油ストーブやガス湯沸かし器、また自動車排ガス等に多く含まれます。
また、森林減少等に伴う二酸化炭素増加が17.3%を占めています。具体的には、焼き畑に伴う二酸化炭素発生や森林減少等に伴う二酸化炭素利用の減少による二酸化炭素の増加です。
その他、セメントなど炭酸塩の化学反応時に発生する二酸化炭素等もあります。
メタンガスの発生源
最終処分場や水田等の有機物が存在する場所で嫌気的条件下(酸素が少ない条件下)において、微生物活動により発生します。日本では見かけないが、生活ごみ等を直接埋立している海外の最終処分場では、多くのメタンが発生しています。また牛のげっぷに多く含まれていることも有名です。
一酸化二窒素の発生源
これも土壌中などで微生物による窒素化合物の分解過程で発生します。またさまざまな化学工業においても多く発生しています。
ハイドロフルオロカーボン類の発生源
すべて人為的な工業生産物であり、自然界では発生しませんが、ハイドロフルオロカーボン類は、冷蔵庫やエアコンの冷媒等に使われています。以前は、スプレーの噴射ガスにも使われていましたが、現在は全廃されています。(地球温暖化ガスであると同時にオゾン層破壊物質であり、以前から削減に取り組まれていました。)
パーフルオロカーボン類、六ふっ化硫黄の発生源
これもすべて人為的な工業生産物であり、自然界では発生しません。半導体製造等で用いられています。
図表2に示す通り、京都議定書の対象として定められた温室効果ガスのうち、その約3/4はCO2に由来しています。
図表2:温室効果ガス発生量の割合
(注釈)
水蒸気を除いた、温室効果ガス発生量の割合を示す。
Fガス類とは、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六ふっ化硫黄を合わせたもの。
(IPCC第4次報告書より作成)
【4】改めて地球温暖化とは?
ここで改めて図表1の産業革命以降の温室効果ガスの濃度比較を見ると、熱吸収の多い地球温暖化ガス成分の割合が産業革命以降、大幅に増えている事がわかります。
これは、地球の大気の保温性が高まっていることを意味します。すなわち、産業革命以降、地球は厚着し続けていることになります。
図表3には、世界の年平均地上気温の経年変化を示します。
このグラフからは、少なくとも1880年以降に0.85℃(0.65~1.06℃)の気温が上昇したことが読み取れます。このように地球温暖化ガスの影響で、地球の平均気温が上昇していることがIPCC(Intenational Panel on Climate Change)等の様々な研究機関から報告されています。
図表3:世界の年平均地上気温の経年変化
黒:英国気象庁による解析データ(HadCRUT4)
黄:米国海洋大気庁国立気候データセンターによる解析データ(MLOST)
青:米国航空宇宙局ゴダード宇宙科学研究所による解析データ(GISS)
偏差の基準は1961~1990年平均。IPCC第5次報告書
【5】地球温暖への否定意見
これらの地球規模での温室効果ガスの測定方法、大気海洋等での熱移動、気候に与える影響、将来的なシミュレーション等の各分野において、まだまだ様々な説があり、地球温暖化については、不確かな要素が残されているのも確かです。
その中で、地球温暖化について否定的な意見をもつ方々も少なくはありません。こちらについては、次号でも触れていきます。
この記事は
バイオディーゼル岡山株式会社
三戸 が担当しました