「ルールを守る」~マニフェスト編~ その1
Q.マニフェストの発行時に、うっかり、記載内容を間違えてしまいました。
- A.
-
まず誤記入について処理委託先に連絡して頂き、修正についてご相談ください。マニフェストに引き渡し廃棄物についての必要情報を記載するのは排出事業者の義務ですので、処理業者に任せるのではなく、排出事業者の責任で修正されることをお勧めいたします。
また、お住まいの地域の行政(廃棄物関連部署など)によっては、相談に応じて修正方法を指導して頂ける場合もありますので、ぜひご確認ください。
マニフェストは、排出事業者が発行する書類ですが、誤記入してしまうこともあります。ここでは、実際の事例をご紹介します。
<エピソード-1>
ある日、エコシステム千葉で産業廃棄物の汚泥を受け入れました。しかし、そのマニフェストは廃油にチェックが入っていました。お客様は廃棄物を大量に排出している会社様で、産業廃棄物の排出には慣れていらっしゃる会社様です。
- 営業Y
- すみませんSさん、いつもお取引ありがとうございます。
ところで、本日お持込いただいた産廃は汚泥ですよね。 - Sさん
- そうだよ。依頼した時に言ったよね。
- 営業Y
- はい、お聞きしてますが、マニフェストを確認しましたら、法分類の欄が、廃油にチェックされていまして・・・。
- Sさん
- あーごめんね、きっと事務方が間違ってチェックして出しちゃったんだよ。そっちで書き直してくれない?
- 営業Y
- 申し訳ありませんが、それはできないんです。
- Sさん
- 何だよ、また何かあるの?
- 営業Y
- ご存じとは思いますが、マニフェストは、廃棄物が委託された内容どおりにきちんと処理されたかお客様が確認するための帳票で、処理業者が勝手に修正して良いものではないんですよ。
- Sさん
- そんなことは知っているよ、別にこちらも故意にやったわけじゃないし。以前付き合ってた他の業者さんは間違って記載されたとわかったら勝手に修正してくれたよ。Yくんもそのくらいのサービスしてくれないと仕事逃しちゃうよ。
- 営業Y
- 仕事を逃しちゃうのは、僕も避けたいんですけど。
マニフェスト(B票以下)の内容が途中で勝手に書き換わっていると、お客様が、委託内容(A票)どおり処理されたか確認するときに、チェックできなくなってしまう可能性があります。また、法律上マニフェストを交付するときに必要事項を確実に記載することはお客様の義務で、不記載や虚偽記載などには罰則だってかかるんですよ。
ですから我々処理業者ではなくて、法的責任を負うお客様自身が間違った内容をきちんと確認し、修正して下さることが大切だと思うんです。 - Sさん
- 結構厳しいんだね・・分かったよ。じゃ今日の分は修正するよ。廃棄物の処理は修正したマニフェストが届くまで待ってね。
- 営業Y
- それから・・・
- Sさん
- まだあるの?
- 営業Y
- Sさんとは今後も良いお付き合いをお願いしたいのであえて申し上げますが、今後、誤記入が起きないように、社内体制の見直しもお願いしたいんです。
- Sさん
- つまり、うちのマニフェスト発行体制がよくないと・・・
- 営業Y
- 申し上げにくいんですが、そこを改善された方がよろしいかと思います。
もしかして、社内で、廃棄物を排出される部署とマニフェストを記入される部署の連携がうまく取れていないのではないでしょうか? - Sさん
- 事務所と現場じゃ、場所が離れているしねえ。それで情報がうまく伝わらなかったのかもね。単純ミスって可能性もあるけど。
- 営業Y
- マニフェストは、『処理を委託した産業廃棄物を引き渡す際に』発行するものなので、マニフェストの情報と廃棄物現物の情報は切っても切り離せないものです。廃棄物排出、マニフェスト記入の業務を社内で分担されるとしても、お互いに情報を共有して、正しい情報のマニフェストを発行して頂ける体制を作って頂けないでしょうか。
- Sさん
- うーん、そう言われれば、そうなんだけどさぁー。そんな簡単なことじゃないんだよ。まあ、社内で検討するけどさ。
- 営業Y
- ありがとうございます。また飲みに行きましょう。
- Sさん
- もうお前とは行きたくないよ。(笑)
~~~後日またまたSさんと飲みに行くことに~~~
- 営業Y
- いつもうるさく言ってしまってすみませんね。
- Sさん
- 立場上Y君が言わないといけないことはわかってるよ。排出者責任も知ってるし、ちゃんとやってるつもりだけど、不充分な点もあるんだって気づいてよかったよ。事務方が、今回は汚泥の排出だって知らなかったんだってさ。
うちはいつも廃油ばかり出してるから、今回も廃油だろうって思いこんで、確認しないで書いちゃったんだよ。現場も、事務方がちゃんとやってるだろうって思い込みで、特に内容確認しないでマニフェストを持ってったらしいんだよね。 - 営業Y
- ご確認頂きまして、どうもありがとうございます。
僕もあの後確認してみたんですけど、この前言っていたマニフェストの必要事項の不記載、虚偽記載などの罰則は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金だそうですよ。 - Sさん
- ええっそうなの?
- 営業Y
- 僕も、正直びっくりしました。不法投棄を防ぐためということもあって、廃棄物処理法はとっても厳しいですね。
- Sさん
- 知らないって怖いね。いつも産廃の処理を委託しているけど、マニフェスト違反にそんなに厳しい罰則があるなんて思いもよらなかったよ。
その後Sさんはマニフェストを運搬業者に手渡す前に、関係部署間でダブルチェックをするように社内のしくみを整えてくださいました。
【参考資料】
下記に、これまでエコジャーナルで特集した廃棄物処理法関連の記事をまとめました。
- 廃棄物処理法改正のポイント
- 廃棄物処理法改正-その1 ~適切な処理事業者を選びやすくなります~
- 廃棄物処理法改正-その2 ~排出業者における廃棄物の管理方法が明確化・強化されました~
- 廃棄物処理法改正-その3 ~建設廃棄物関連のポイント~
- 産廃マニフェストの運用解説
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の記載事項と様式
- 産業廃棄物管理票(マニフェスト)は後から送っても良いか
- 廃棄物処理法関連 お困り内容別 【逆引き! 法律以外の重要情報】
- 産業廃棄物の多量排出事業者が提出しなければいけない書類
この記事は
エコシステムジャパン株式会社
山下 が担当しました