「ルールを守る」~マニフェスト編~ その2
マニフェストの誤記載が起こりやすいケースをご紹介します。
<エピソード-2>
あるメッキ会社様のケース
この会社様からは「廃アルカリ」という廃液が排出されました。この会社様ではメッキ洗浄の際にシアンを使用するため、廃アルカリにはシアンが含まれています。この場合、単なる廃アルカリではなく、「(特定有害)廃アルカリ」となります。
- 営業I
- Kさん、いつもお取引ありがとうございます。ところで、今日入荷した「メッキ廃液」のマニフェストに誤記載がありました。このメッキ廃液は確かに特別管理産業廃棄物ですが、「強アルカリ」にチェック記載されてエコシステム千葉に持ち込まれました。
本来は、シアンが含まれているので「廃アルカリ(有害)」にチェックが記載されます。 - Kさん
- 私、つい先日、担当になったばかりで・・・・・。でも、特管にチェックがあれば良いのでは?
- 営業I
- Kさん、それは違うんです。マニフェスト制度は、排出事業者様が産業廃棄物の処理委託をする際に、受託者に対して交付し、処理終了後に受託者からその旨を記載したマニフェストの写しの送付を受け取ることにより、委託契約どおりに産業廃棄物が処理されたことを確認し、訂正な処理を確保する制度です。
- Kさん
- なるほど、今回私はマニフェスト公約違反をしてしまったわけですね。
- 営業I
- それとは、少し違いますが・・・・。
あと、マニフェストに間違った情報が記載されていることにより、運搬会社や処理工場で重大事故につながる可能性もあります。また、実際に運搬会社が許可を持っていない廃棄物を運んでしまう可能性もあります。
Kさん、マニフェストは「適正処理のパスポート」とも言われてます。 - Kさん
- なるほど、よく分かりました。ただ単に特別管理の部分にチェックしていれば良いという訳ではないのですね。今後は気を付けてマニフェストを発行するようにします。
今回のように、マニフェストの誤記載は、ご担当者が未経験者だったり、うっかりミスによるものもあります。なかなか排出事業者だけで未然に防ぐというのも難しい面があります。運搬会社が廃棄物を引取りに行った際に、マニフェストの双方チェック(排出事業者と運搬会社)してもらうなどで誤記載を未然に防ぐということも大切です。
~特定有害廃棄物について~
廃棄物処理法では、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生じる恐れがある性状を有するもの「特別管理産業廃棄物(以下、特管廃棄物という。)」として区分されています。さらに特管廃棄物のなかでも「重金属、有機塩素化合物、(PCB)、農薬、セレン、ひ素、ダイオキシン類他」を一定濃度以上含むものは「特定有害産業廃棄物」に該当します。
例えば、廃アルカリにシアンが1mg/ℓ以上含まれていると特定有害産業廃棄物に該当します。
特管廃棄物は、排出の段階から処理されるまでの間、特に注意して取り扱わなければならないもので、産業廃棄物とは別に処理基準が定められ、処理業の許可も区分されています。したがって、排出元の事業者は自社から排出される産業廃棄物が何に該当するかを的確に判断し、その廃棄物を処理(収集運搬)できる許可業者に委託する必要があります。
【参考資料】
特別管理産業廃棄物の判断基準(廃棄物処理法施行規則第1条の2)
この記事は
エコシステムジャパン株式会社
昆野 が担当しました