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廃棄物処理法改正のポイント

平成22年9月19日に廃棄物処理法の改正が公布されました。
以下に、今回の改正の主なポイントをまとめました。

注目 テーマ 改正後の条項(改正後)
場外保管の届出 第12条第3項、第12条の2第3項
★☆ 処理状況確認の努力義務 第12条第7項
通知を受けた際の措置 第12条の3第8項
マニフェスト保管義務 第12条の3第2項
  処理困難時の通知 第14条第13・14項、第14条の4第13・14号
  処理施設の定期検査 第15条の2の2
  処理施設に関する情報公開 第15条の2の3第2項
  熱回収施設の認定 第15条の3の3
  多量排出者の処理・減量計画 第33条第2号
  建廃排出責任の一元化 第21条の3
  罰則 第32条第1号
  措置命令の対象拡大 第19条の4
  廃棄物の輸入 第15条の4の5第3項
  土地所有者の通報努力義務 第5条第2項
許可証有効期限の特例 第14条第2項、第7項

★…排出事業者に影響のあるテーマ
☆…排出事業者に影響のあるテーマで、専門委員会報告書と実際の改正内容に違いがあったテーマ

なかでも、上表の★印の項目については排出事業者に影響のある改正となっています。同じく☆印の項目は、排出事業者に影響のある改正で、かつ、廃棄物処理制度専門委員会の報告書の内容と実際の改正内容に違いがあった改正です。
今回は、これらのテーマについてご説明します。

場外保管の届出 ★

第12条第3項
事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(略)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(略)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の省令で定める場合を除き、あらかじめ、省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。

これまでも、自治体によっては場外保管の届出について条例が制定されていました。今回の改正で全国の排出事業者に適用されることになります。届出義務の対象となる廃棄物の種類、量等は今後、省令等により定められます。工場から排出された廃棄物を一定の場所に集積して排出するとき、それが敷地内であるか敷地外であるか、実態を把握し、省令等の内容に即して対応することが必要です。

実地確認の努力義務 ★☆

第12条第7項
事業者は、(略)産業廃棄物の運搬又は処分を委託するときは、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の工程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

改正前の議論でも、実地確認の義務化については注目されていましたが、排出事業者・処理業者双方の負担を考慮し、今回の改正では「努力」義務に落ち着きました。あくまで「努力」義務なので、実地確認をするかしないかは各排出事業者の判断に委ねられます。しかし、この改正は排出者責任強化の表れでもあるので、重要な改正点だといえます。

マニフェストA票保存の義務 ★

第12条の3第2項
(略)管理票を交付した者は、当該管理票の写しを当該交付した日から省令で定める期間保存しなければならない。

これまでも返却されたB票以降のマニフェストの保存義務は定められていましたが、マニフェストの返却状況や虚偽記載がないかの確認には、A票も必要であるという意見を受けて義務化されました。保存しない場合、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金という罰則もあります。保存期間は、今後、省令等により定められます。

通知を受けた際の措置 ★

第12条の3第8項
管理票交付者は、省令で定める期間内に(略)管理票の写しの送付を受けないとき、(略)規定する事項が記載されていない管理票の写しの送付を受けたとき、又は第14条第13項若しくは第14条の4第13項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。

注)第14条第13項、第14条の4第13項の規定
収集運搬業者及び処分業者は委託を受けた廃棄物の適正な処理が困難になった、又はその恐れがある場合は、書面にて委託者に通知しなければならないとされている。

これまでも、マニフェストの返却遅延や虚偽記載があった場合に、排出事業者は委託した廃棄物の処理状況を確認し、適切な措置を講じる義務が定められていました。今回の改正で、その義務が発生する事由が増えたことになります。廃棄物処理業者から廃棄物の適正処理が困難になった、またはその恐れがある場合も適正な措置を講じなければなりません。
適切な措置として何をすれば良いかというと、現行の施行規則によれば、生活環境の保全上の支障を除去し、都道府県知事に報告書を提出することとされています。

優良性評価のインセンティブ ☆

※優良性評価制度とは

環境省が平成17年に省令に基づいて創設した制度です。産業廃棄物処理事業者の申請により都道府県が、「遵法性」「情報公開性」「環境保全への取り組み」の3つの観点から基準に適合しているかどうかを確認します。基準を満たしていると判断されれば、基準適合事業者として、財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が提供する「産廃情報ネット」や自治体のホームページに掲載されます。

廃棄物処理制度専門委員会の報告書では、この制度のインセンティブとして、処理業者には優良と認定されれば許可証の有効期限が延長されること、排出事業者には優良認定業者に処理を委託すれば実地確認が免除されることが提案されました。
しかし、上記で述べたとおり実地確認は「努力」義務とされたので、優良認定処理業者の許可証の有効期限の延長の部分のみが残りました。以下が有効期限の特例に関する条文です。

第14条第2項
前項の許可は五年を下らない期間であって当該許可に係る事業の実施に関する能力及び実績を勘案して政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

現時点では、延長されるか否かの判断基準は、現行の優良性評価制度をベースに、今後省令等で定められるとみられています。


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