廃棄物処理法解説 はじめの一歩(その8)
~排出事業者責任(1)~
廃棄物処理法が改正される度に強化されていく排出者責任について、解説します。
【1】廃棄物処理法の規定
廃棄物処理法では以下のように規定されています。
第3条
事業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任において適正に処理しなければならない。第11条
事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。
「処理」という言葉が出てきます。廃棄物処理法において「処理」とは、廃棄物が発生してから最終的に捨てられるまでの行為、すなわち、分別、保管、収集、運搬、再生、処分等を含む概念です(廃棄物処理法1条参照)。また、「処分」には、「中間処理」と、「最終処分」の二つの意味が含まれています。中間処理と最終処分を指す場合には、「処分」という言葉が使われます。
【2】事業活動に伴って生じた廃棄物
第3条と第11条は同じことを規定している様に思えますが、何が違うのでしょうか?
見比べると、廃棄物に関する表現が違うことがわかります。
第3条
事業活動に伴って生じた廃棄物の適正処理に責任を持たなければならない
第11条
産業廃棄物を自ら処理しなければならない
事業活動に伴って生じた廃棄物とは、イコール産業廃棄物のことではないのか?と思われた方もいると思いますので、一度確認をしたいと思います。
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち政令で定められた20種類の廃棄物を指します。つまり、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、20種類の廃棄物は産業廃棄物で、それ以外は一般廃棄物、ということになります。(事業活動に伴って生じた一般廃棄物は、事業系一般廃棄物と呼ばれます。)
事業活動に伴って生じた廃棄物 = 産業廃棄物 + 事業系一般廃棄物
排出事業者は、産業廃棄物と事業系一般廃棄物の適正処理に関する責任を有しており、自ら処理しなければならないという義務は、産業廃棄物に関してのみ規定されています。
適正処理の責任(第3条) | 自ら処理の義務(第11条) | |
---|---|---|
産業廃棄物 | 有 | 有 |
事業系一般廃棄物 | 有 | なし |
では、「産廃の処理責任は排出事業者」とセットで「一般廃棄物の処理責任は自治体」、と言われることもありますが、これに関してはどうでしょうか。
廃棄物処理法では、以下のように規定されており、
第4条
市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
また、平成19年7月27日の中央環境審議会意見具申「事業活動に伴って排出される一般廃棄物である木くずに係る廃棄物の区分について」では、自治体は、一般廃棄物の処理について統括的な責任を有する
とされています。
つまり、自治体は一般廃棄物の処理について統括的な責任はあるけれども、産廃の排出事業者責任の様な処理責任を負っているわけではありません。
事業系一般廃棄物も、事業者が適正処理の責任を有しているという点について、ご注意ください。
次回は、排出事業者責任の内容について、解説します。
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました