中国の廃プラ輸入規制(1) 〜背景と概要〜
中国は1980年代以降、日本や欧米、欧州などの国から廃プラスチックや古紙などの資源ごみを大量に輸入し、中国国内で分別・加工して、新たな製品の原料として再利用してきました。
以下に日本から中国への廃プラの輸出状況の推移を示します。日本でのリサイクル意識が高まり、各種リサイクル法などが制定された時期(2000年頃)から大幅に急増しています。2016年には国内で約900万トンの廃プラスチックが発生し、その内約130万トンが中国に輸出されていました。
グラフ:日本から中国向けの廃プラ輸出の推移(筆者が国連商品貿易統計データベースより作成)
しかし、2017年7月に中国政府は「輸入廃棄物管理目録」を改正しました。これにより、生活由来の廃プラスチックや未分別の紙くずや繊維くずの輸入が制限され、2018年1月から中国へ資源ごみを輸出できなくなりなりました。
何故中国は廃プラスチックの輸入禁止に踏み切ったのでしょうか。
中国では、ごみ処理やリサイクルの体制が十分に整ってはいないことに加え、経済成長に伴い、ごみの発生量が急増しています。さらに、中国は世界で輸出された廃プラスチックの半量を受け入れていましたが、中国が輸入した廃プラスチックの中には資源化できないもの(汚れていたり、選別が不十分なもの)が含まれていたり、夾雑物や有害物が混入しているケースもあり、そうした資源化できない廃プラスチックや夾雑物、有害物等が野焼されたり、不法投棄されるなど、環境問題が生じていました。
このように、中国国内で急増するごみと外国から輸入されたごみ問題が中国国内で社会問題化する中で、中国政府として対応を迫られ輸入禁止の決定がなされました。
【参考文献】
IGESホームページ
プラスチックごみ問題の行方:中国輸入規制の影響と今後の見通し
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
森田 が担当しました