循環型社会を目指すオランダの取り組み
その2 ごみの分別
【その2】ごみの分別
画像:分別表
アスベスト | 電気機器 | 揚げ油 |
有機性廃棄物と食べ残し | ガラス | 大型廃棄物 |
家庭用品 | 小型の化学(ケミカル)廃棄物 | 紙とダンボール |
プラスチック・缶・紙パック (ドリンクカートン) |
がれき・石膏(ギプス) | (全てを分別後の)混合ごみ |
繊維類 |
Inzameling verschillende soorten afval - Meerlanden
■生ごみ
各家庭に支給されたグリーンのごみ箱には、 生ごみや庭木の剪定枝を入れます。これらはたい肥化されたり、メタン発酵されます。たい肥(こちらではコンポストと呼ばれます)は農作物がよりよく成長できるよう土壌改善に使用され、メタン発酵されたガス(こちらではバイオガスと呼ばれます)は家屋の暖房、調理、ごみ収集車の燃料等に使用されます。
ヘームステーデから約15km離れたライゼンハウトという町に、周辺の9自治体用のたい肥工場とメタン発酵工場があります。
バイオガスはガス管で供給され、たい肥は近所のMeerlanden運営の大規模ごみ集積所などの行政機関で、購入できます。コロナでここ2年開催されていませんが、通常は年一回、住民への「分別感謝デー」があり、その日には無料でたい肥をもらえます。大勢の人で賑わう、お祭りのようなイベントです。
■プラスチックごみ
近所にある集積コンテナに自分で出しに行きます。
プラスチックごみはリサイクル可能なプラスチックの袋に入れてプラスチックごみ用コンテナに入れます。プラスチックの袋は、スーパーにごみ袋として売っている袋や、油汚れなどがあまりついていない袋であればなんでも使えます。
プラスチックの容器包装以外に、プラスチック製のコップやおもちゃなども入れられます。
写真:プラスチックごみ用コンテナ2種
■紙・ダンボールごみ
近所にある集積コンテナに自分で出しに行きます。
袋などには入れず、そのままコンテナに入れます。
写真:紙・ダンボールごみ用コンテナ
以前は、写真左のコンテナに紙ごみを出しに行っていましたが、コロナで宅配便を利用する人が多いせいか、一杯になっていることが多くありました。
すると先週、いきなり右の特大コンテナに変わっていました。私の身長くらいあります。
■ガラスごみ
ガラスを捨てるためのコンテナは間口がワインボトルなどに合わせた丸型になっていて、入れるとガチャッと割れる音がします。
リサイクルしやすいよう、透明とそれ以外の色に分けて収集するようになっています。
写真:ガラスごみ用コンテナ(透明と色付きに分けて入れる)
■ペットボトル・瓶類の返却機とデポジット
ペットボトルや多くのビール瓶などは、購入時にデポジット代込みで購入し、スーパーマーケットなどでボトルを返却するとレジでデポジット代を返却してもらえる仕組みになっています。返却用の機械にボトルを入れると、デポジット代が印刷されたレシートが出て来るのでこれをレジへ持って行きます。子供をボトル返却担当にし、ご褒美にデポジット代をお小遣いとして使ってよいことにしている家庭もあります。
最近、デポジット制が小型のペットボトルにも拡大されることが決まりました。街中に放置されるペットボトルが減るであろうニュースは大変喜ばしいと受け止められています。
写真:近所のスーパーのデポジット付きボトル返却装置2種類。デポジット代込みで購入したペットボトルやビール瓶を入れてボタンを押すと、レジで換金できるレシートが出ます。
■電池・電球、小型家電やインクカートリッジ収集箱
使用済み電池・電球、小型の電化製品やインクカートリッジも、スーパーマーケットや家電量販店に収集箱があります。(右の写真の左下に入りきらなかったミキサーがありますが、多分収集時に持って行ってくれると思います)
写真:使用済み電池・電球、小型の電化製品やインクカートリッジ収集箱
■揚げ油
写真:揚げ油収集箱
先日、いつも行っているスーパーに新たに揚げ油(Frituurvet)を捨てるためのボックスが設置されていました。購入時に揚げ油が入っていたプラスチック容器や、ペットボトルなどに入れた上でこのボックスに入れます。
最近、エア・フライヤーなど、油を使わない揚げ物用家電が流行していますが、オランダの家庭では元々、フライドポテトやコロッケ風のスナックを揚げる頻度が高いため、揚げ油処理ボックスの需要は高いです。
スーパーなど、身近な場所に日々新たなごみ用コンテナが追加されていくのが、オランダのごみ処理意識の高さを表していて嬉しく思います。
■混合ごみ
グレーの混合ごみ箱には、ここまで説明してきた全てのごみへの分別が終わった後残ったものを入れます。しっかり分別すると混合ごみは驚くほど少なくなります。
ヘームステーデでは、金属類は混合ごみのごみ箱に入れます。処理施設で金属類は選別され、リサイクルされます。可能な限り金属を取り除いた後の混合ごみは焼却されます。
この記事は
オランダ在住・在勤・元ジャパンタイムズ紙記者
Yumi Wijers-Hasegawa が担当しました