循環型社会を目指すオランダの取り組み
その1 家庭ごみの出し方
私が住むのは、オランダの首都アムステルダムから約25キロ離れたベッドタウン、ヘームステーデです。
1. ごみ箱
ここでは各家庭にグレーとグリーンの2種類の大きなプラスチックのごみ箱が支給されます。グレーのごみ箱に混合ごみを、グリーンのごみ箱に庭木の剪定枝などを含む生ごみを入れて路上に置いておくと、隔週(2週間に1度)で収集されます。
日本では週に2度回収される「可燃ごみ」は、オランダでは混合ごみ・生ごみに相当します。それぞれ2週間に一回回収されるということは、頻度にすると日本と比べて4分の1と言えます。
これではごみ箱が一杯になって困らないか、と思われると思いますが、多くの家庭が所有する240リットルのごみ箱は相当大きく、なかなか一杯になることはありません。
庭の大規模な剪定や落ち葉拾いの時期に自分のごみ箱が一杯になれば、隣の家のごみ箱に入れさせてもらえますし、分別をきちんと行えば、グレーのごみ箱に入れる混合ごみは本当に少なくなります。筆者宅も熱心に分別しているため、240リットルのごみ箱が大きすぎると感じ、処理料金が低い140リットルの小型に変えようかと検討しています。
生ごみの回収も2週間に1回ですが、生ごみの臭いやハエなどの虫も、容器の蓋がしっかりしているため気になりません。一年を通してオランダの気温は1℃から22℃の間を推移し、たまに27℃程になることはあっても夏の平均気温も22℃のため、腐ったごみの臭いに悩まされることはありません。
ごみ箱の取り扱いは自治体によって異なりますが、私が住むヘームステーデの場合、混合ごみ用のグレーのごみ箱は各家庭で購入して、各家庭の所有物となります。大きさは上述の通り240リットルと140リットルのサイズがあり、販売価格は140リットルがEUR48.81、240リットルのものはEUR52.88です。所有物なので引越しの時は持って行ってもいいらしいのですが、実際は家を買うと以前の所有者のごみ箱が、家の前で新しいオーナーを待っていることが多いようです。
生ごみ用のグリーンのごみ箱は廃棄物収集・リサイクル・清掃を行う行政機関であるミヤランデン(Meerlanden)の所有物で、無料で使うことができます。
混合ごみが多い家庭が、グレーのごみ箱を小型から大型にしたい、または追加で購入する場合には追加費用を払う必要がありますが、庭が広い等の理由でグリーンのごみ箱の数を増やしたい場合は無料でもらえます。また、グレーのごみ箱には、所有者とごみ収集費用(自治体税)を支払っている旨がわかるステッカーを貼る必要があり、ステッカーは毎年12月に行政より郵送されてきます。大型の240リットルのグレーのごみ箱のごみ収集費用(自治体税)は現在年間EUR356.78、小型の140リットルの場合はEUR285.43です。
写真:グレーのごみ箱の上に貼られたステッカー
上記の通り、ヘームステーデではごみ収集と処分に係る費用は自治体税(Gemeente belasting /municipality tax)で賄われていてステッカーが行政から送られてきますので、住民がごみ処理券を購入する必要はありません。
尚、住宅が密集し道路も狭いアムステルダムなど都市部では、家庭ごとのごみ箱はなく、地域に設置されたごみ箱にタイプ別に分けて捨てる方式になっています。ごみ箱は路上型と地下型があります。マンションなどのごみ箱は、その住民しか利用できないようにカードで開閉するようになっているところもあります。
2. ごみの収集
ヘームステーデでは月曜日にグレーまたはグリーンのごみの収集があります。
ドライバーがごみ収集車のアームにごみ箱をセットすると、アームが大きなごみ箱を持ち上げ、逆さまにして中身がよく落ちるように空中で振ります。
ダイナミックで、見ていて楽しくなる光景です。
写真:自宅前から混合ごみが収集される様子
【プロフィール】
京都大学部法学部卒
WHO勤務だった父の仕事のため17歳までの10年をスイス・ジュネーブで育つ
(現地校&インター 高校一年を飛び級)英検1級、仏検1級、TOEFL653点
職歴: 全日本空輸株式会社(総合職 国際線路線開設担当)、ADK(オランダ)広告制作
営業、(株)ジャパンタイムズ報道部記者・学芸部記者、法律事務所Baker&McKenzie(オランダ)、EY Law(オランダ)、異文化ビジネスセミナーを提供するJapan Consulting Officeオランダ社代表
この記事は
オランダ在住・在勤・元ジャパンタイムズ紙記者
Yumi Wijers-Hasegawa が担当しました