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平成24年度 土壌汚染調査技術管理者試験の解答及び解説(1)

■平成24年度 土壌汚染調査技術管理者試験の解答及び解説(その1)

平成24年12月9日(日)に第三回土壌汚染調査技術管理者試験が行われました。
昨年、平成23年度の試験問題の解答及び解説に引き続きまして、皆様のお役に立つと思われる問題について解説を掲載させていただきます。
引き続き、ご拝読いただけましたら幸いです。

【関連リンク】

環境省ホームページ
技術管理者制度
技術管理者試験問題

【問題11】

図1は法における地歴調査による土壌汚染のおそれの区分の分類の結果を、図2は同じ調査対象地の単位区画の区分の結果を示している。また、この調査対象地全体に深度3~5mに専ら自然由来の汚染のおそれがある地層が分布している。この調査対象地において試料採取等を行う区画の選定を行った結果を示す図3に掲げるもののうち、正しいものはどれか。


【問題11 解答】

(3)

【解説】

専ら自然由来の土壌汚染のおそれと人為的要因の両方が見られる場合の試料採取等を行う場合、自然由来に係る調査と人為的要因に係る通常の調査の両方を実施する必要があります。このため、①人為的要因に関するおそれに対しては、通常と同様に試料採取区画の設定を行う必要があります。また、②自然由来の汚染に係る試料採取地点も同様に通常通り行う必要があります。

自然由来の汚染に係る汚染の調査を行う場合、対象地内の最も離れた二つの単位区画を含む30m格子の中心を含む単位区画が、試料採取の対象となります。「最も離れた二つの単位区画」とは、単位区画の中心と中心を結ぶ直線の長さが最も大きい二つの単位区画のことを言います。30m格子の中心が対象地内に無い場合は、30m格子内の任意の単位区画を選定します(下図1参照)。

図1. 自然由来の汚染に係る試料採取地点の設定の考え方

  1. 調査対象地の最も離れた二つの単位区画を含む30m格子を選ぶ
  2. これらの30m格子の中心を含む単位区画を試料採取等区画とする(原則)
  3. 調査対象地が一つの30m格子内にある場合は、30m格子の中心の単位区画を試料採取区画とする
  4. ただし、これらの30m格子の中心が調査対象地の区画内に無い場合は、30m格子内のいずれか一つの単位区画を試料採取等区画とする
  5. 試料採取等区画の中心を試料採取地点とする

※出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置・運搬・処理業に関するガイドライン改訂第2版p192

①人為的な汚染と②自然由来の汚染の区分を組み合わせると、問題11の回答は選択肢(3)になります。

(1)については、「単位区画の中心と中心を結ぶ直線の長さが最も大きい二つの単位区画」ではありません。
(2)については、右上の30m単位区画の中心があるため、中心に配点する必要があります。
(4)人為的な汚染に関するおそれの区分では、「土壌汚染が存在するおそれがない」場合、資料の採取は行わないため、左側の区域に誤りがあります。
(5)左側の配点が最も離れた二つの単位区画を含む30m格子内ではありません。

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【問題13】

法における自然由来特例の調査に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 専ら自然由来で汚染された土壌を盛土材料に用いた土地においても、要件を満たす盛土について自然由来特例の調査を行った。
  2. 専ら自然由来の土壌汚染のおそれについては、一般的に汚染のおそれがある土地の範囲を単位区画レベルの精度で特定することが困難であるため、調査対象地のすべての範囲について専ら自然由来の土壌汚染のおそれがある土地とみなした。
  3. 地表から深さ6~9mに専ら自然由来の砒素を含む地層が分布している調査対象地において、この地層から掘削した土壌を盛土材料に利用し、工事は平成19年に完了した。当該調査対象地において盛土部分を含め、自然由来特例の調査を行った。
  4. しゅんせつ土砂を用いて造成した公有水面埋立地において、しゅんせつ土砂に砒素が含まれていることが判明した。この土地では砒素の取扱い履歴がないため、自然由来の土壌汚染と判断して、自然由来特例の調査を行った。
  5. 自然由来特例の調査として2地点で試料採取等を行い、その結果をもとに調査対象地全体の自然由来の汚染状態を評価した。

【問題13 解答】

4

【解説】

公有水面埋立地における汚染土壌の調査は、水面埋立地特例の調査に該当するため、自然由来の土壌汚染調査と調査方法が異なります。

公有水面埋立地の場合、

  1. 人為的な汚染」の有無について調査を行う。
  2. 水面埋立用材料由来の汚染」の恐れについて調査を行う。

このため、自然由来特例の調査方法では、評価を行うことはできません。よって4.は誤りとなります。

下記に公有水面埋立地における土壌汚染状況調査の手順を示します。

表2.自然由来で汚染された土壌による盛土部分の土壌の取り扱い
自然由来で汚染された土壌による盛土部分の位置 自然由来汚染盛土とみなすことのできる範囲
改正土壌汚染対策法施行前(平成22年3月31日以前)に盛土が完了したもの 改正土壌汚染対策法施行前(平成22年4月1日以降)に盛土が完了したもの
盛土部分の土壌を掘削した地層と同質な状態でつながっている地層が深さ10m以浅に分布
※公有水面埋立地除く
【自然由来特例の調査】
《第二溶出量基準に適合するものは自然由来汚染盛土と評価される》
掘削および盛土が同一の事業で行われたもの又は掘削場所と盛土場所との距離が900m以上離れていないもの
【自然由来特例の調査】
《第二溶出量基準に適合するものは自然由来汚染盛土と評価される》
公有水面埋立地※ 【基本となる調査又は埋立地特例の調査】
《自然由来汚染盛土とは評価されない》
【基本となる調査又は埋立地特例の調査】
《自然由来汚染盛土とは評価されない》

※【】は調査方法、《》は調査の結果・自然由来汚染盛土と評価される条件
※公有水面埋立地については、自然由来の有害物質が含まれる土壌が埋立て、または盛土の材料として利用される場合があるが、別途、埋立地管理区域、埋立地特定区域が別途設定されていることにより、自然由来特例区域や自然由来による汚染土壌に関する調 査の適用を受けない土地となっている。

表1.公有水面埋立地における調査の特例による試料採取等の概要
特定有害物質
の種類
第一種特定
有害物質
(揮発性有機化合物)
第二種特定
有害物質
(重金属)
第三種特定
有害物質
(農薬等)
試料採取の考え方 30m格子内の1地点 30m格子内の単位区画で5地点均等混合 30m格子内の単位区画で5地点均等混合
調査方法 ボーリング調査
(土壌溶出量調査)
ボーリング調査
(土壌溶出量調査、土壌含有量調査)
ボーリング調査
(土壌溶出量調査)

出典:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置・運搬・処理業に関するガイドライン改訂第2版p97

1. については、自然汚染が存在することが明らかになっている盛土が存在する土地については、調査を行う必要があります。このため、正となります。
2. については、自然由来の汚染は地質的に同質な状態で汚染が広がっている状態を指すため、最も離れた単位区画における試料採取によって評価します。よって、正となります。
3. については、自然汚染が明らかである地層の土壌を用いて埋土を行った場合、これも対象となります。よって正となります。
5. については、自然由来特例の調査方法は、「単位区画の中心と中心を結ぶ直線の長さが最も大きい二つの単位区画」において試料を採取するとなっていますので、これは正になります。


渡邊 この記事は
ジオテクノス株式会社
渡邊 が担当しました

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