土壌汚染調査技術管理者試験問題の解説(5)
■平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の解答及び解説(その5)
前回に引き続き、平成23年度土壌汚染調査技術管理者試験の解説を示します。今回は、区域指定の解除に関する問題を解説させていただきます。是非、ご参照ください。
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【問題11】
法の地下水の摂取等によるリスクに係る措置で、措置が完了すればすべての区域指定が解除される措置として次に掲げるA~Eのうち、正しいものはいくつあるか。
A 原位置封じ込め
B 透過性地下水浄化壁による地下水汚染の拡大防止
C エアースパージング
D 原位置不溶化
E 原位置洗浄
(1) 1つ (2) 2つ (3) 3つ (4) 4つ (5) 5つ
【解答】
- (2)
【解説】
-
法において、すべての区域指定を解除するためには、土壌汚染を完全に除去するか浄化する必要があります。A:原位置封じ込め、B:透過性地下水浄化壁による地下水汚染の拡大防止、D:原位置不溶化については汚染の拡散を防止する措置であって、措置が完了したとしても土壌汚染は区域内に残留するため、すべての区域指定は解除することはできません。
一方、C:エアースパージング、E:原位置洗浄は、土壌中から汚染物質を回収・分離する措置であるため、土壌汚染を完全に除去する措置です。従って、正解は選択肢(2)となります。 【補足】
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汚染の拡散に関する措置のお勧め技術について
原位置封じ込めや揚水処理は、措置技術として主流だが、土地の活用や管理についてデメリットがあります。
原位置封じ込めは、地表面を舗装する必要があるため、グラウンド、マンションの緑地帯などの利用が難しい等、浄化後の土地活用に制限が生じます。
また、揚水処理は、措置完了に時間がかかるため、揚水ポンプや汲み上げた地下水の処理設備などの維持管理やランニングコストが長期にわたってかかります。このようなデメリットを解決するために、弊社では、以下の措置をお勧めしております。
① 透過反応壁(PRB工法)
汚染源の下流側(敷地境界付近の場合が多い)に特殊鉄粉を用いた透過反応壁を設置しVOCの分解や重金属の吸着により汚染の拡散を防止します。
透過反応壁は、一度設置すればその後は、メンテナンスが不要です。また、被覆も不要のため、様々な土地活用が可能となります。② マイクロバブルオゾン注入工法
オゾンガスを直径1~数十μmの微細な気泡として混合・溶解させた水溶液を地中に注入する工法です。気泡の剥離効果及び酸化作用によりVOC等を分解・浄化させます。
また、油等については、地下水中への溶出を促進させ、揚水により回収します。
マイクロバブルオゾン注入工法と揚水処理を合せて行えば、地下水汚染の拡散防止と汚染源の除去の両方を満たし、揚水処理の期間の大幅短縮が望めます。
この記事は
ジオテクノス株式会社
四戸 が担当しました