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太陽光発電システムのリサイクル その2

秋田県 産業労働部
資源エネルギー産業課
エコタウン班副主幹
松島 桂英 様

秋田県公式ホームページ「美の国あきたネット」

グリーンエネルギーとして注目されて普及が大幅に伸びている太陽光発電ですが、一方で大量に普及した製品は将来耐用年数を終えると廃棄物となります。
今回のインタビューは、太陽光発電システムのリサイクルへの取り組みについて、秋田県産業労働部資源エネルギー産業課エコタウン班副主幹の松島桂英さんにお話を伺いました。

太陽光発電システムは、買うと高いですし、さぞ、高価な金属が使われているのだろうと思うのですが、・・・どんな有価金属が使われているのですか?

太陽光発電システム、太陽電池とも言われますが、大きく分けて、シリコン系と化合物系に分類されます。このうち、結晶シリコン型のものは、国内市場の8割近くのシェアを占めると言われています。

化合物系は、無機化合物の元素を含んだ名前で呼ばれています。

  • InGaAs太陽電池:インジウム-ガリウム-砒素
  • GaAs系太陽電池:ガリウム-砒素
  • CIS系(カルコパイライト系)太陽電池:銅-インジウム-セレン
  • CdTe系太陽電池:カドミウム-テルル

太陽光発電システムには、銀も回路として使われていますが、非常に薄く塗布されているため含有量はごく少量です。以前はシリコンが高価でしたので、そのシリコンをリサイクルしようと検討したのですが、シリコンと一口に言っても様々な種類や技術的課題があり、有価でのリサイクルは難しいという結論に達しました。

太陽光発電システムの重量の約8割を占めているのは、ガラスです。今は、ガラスのリサイクルに向けての検討を進めています。ガラスを砂の代替品に使うリサイクルは出来るのですが、カスケードリサイクルですし、できれば、ガラスとしてリサイクルしたいと考えています。

色々な成分が含まれているんですね。

そうなんです。
EUでは、太陽光発電システムがWEEEの対象物になりました。

WEEEというと、廃電気電子機器のリサイクルを義務付けるEUの指令ですね。

2011年12月、WEEE指令改正案に対する合意がなされ、太陽電池モジュールが対象製品に含まれることになりました。

日本国内では、まだ、太陽光発電システムを廃棄する際の規制や法律はありませんが、今後、何らか検討されていく可能性もあると思っています。

技術的な課題を教えてください。

まず、封止材(EVA)の除去方法です。
太陽光発電システムは屋外に設置されますので、風雨にさらされても大丈夫なように、とても丈夫に出来ています。
ただ、解体する際にはこれが大変で、封止材という樹脂を除去するのに苦労しています。
焼けば樹脂は飛ばせますが、ガラスとしてのリサイクルが出来るように、違うやり方がないのかを検討しているところです。

なるほど。確かに、太陽光発電システムは屋外で使うものですし、防水じゃないと困りますしね。でも、そのことでリサイクルが難しくなっているんですね。
・・ところで、廃棄される太陽光発電システムはいつごろ増えてくるのでしょうか?

太陽光発電システムの寿命は、20~30年と言われていますので、最近普及したものは、20~30年後に廃棄される見通しです。ただ、過去に、サンシャイン計画という計画がありました。
1973年に発生した第1次オイルショックを契機に1974年7月に発足した日本の新エネルギー技術研究開発についての長期計画です。石炭液化技術開発、大規模深部地熱開発のための探査・掘削技術開発、太陽光発電技術開発が重点プロジェクトとして推進されました。

このサンシャイン計画によって設置された太陽光発電システムは、設置30年が経過していますし、20年経っていなくても、個人の方がFIT制度の施行を機に、より高性能な太陽光発電システムに買い替る、というようなケースもあると考えています。

太陽光発電システム以外でも、秋田県は環境分野、特にリサイクルに関して注力されていますが、具体的に教えていただけますか。

秋田県では、秋田県環境調和型産業集積推進計画 ~秋田エコタウンプラン~ を策定しています。

秋田県は、平成11年に秋田県北部エコタウン計画の承認を受け、豊かな自然と共生する環境調和型社会の形成を目指して、家電リサイクル事業やリサイクル製錬拠点形成事業、廃プラスチック利用新建材製造事業、石炭灰・廃プラスチックを活用した二次製品製造事業などを実施しています。

秋田エコタウンプランでは、平成23年度から平成28年度までを計画期間とし、短期的な取り組みと中長期的な取り組みについて計画を策定しています。重点事業は、レアメタル等金属リサイクルの推進、廃プラスチックのマテリアルリサイクル、企業間ネットワークの構築によるリサイクルの推進、東南アジア地域との交流による環境・リサイクルビジネスの推進です。

プラスチックのマテリアルリサイクルは、農業用及び事業系廃プラスチックのマテリアルリサイクルに取組んでいます。PPのものやPEのものがあるという素材の問題だけでなく、汚れや農薬の除去等の問題もありますが、今まで個別に処理していた農業用及び事業系廃プラスチックをまとめて回収してリサイクルする、という実証実験を行なっています。

太陽光発電システムのリサイクルも、重点事業ですが、他には、燃料電池のリサイクルなどにも取り組んでいます。

【参考資料】

産業総合研究所ホームページ 太陽電池の分類
サンシャイン計画(昭和53年版科学技術白書第1部第3章第2節)
高度情報科学技術研究機構ホームページ サンシャイン/ニューサンシャイン計画
秋田県ホームページ 秋田県環境調和型産業集積推進計画について

ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回で、インタビューは終了です。秋田県では製品普及の先手を打ち、リサイクルに取り組んでおられる事が、よく分かりました。

インタビューに伺った際に見かけたポスター「あきたびじょん」の美人も気になっています。

秋田県ホームページ:あきたびじょん

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