太陽光発電システムのリサイクル その1
秋田県 産業労働部
資源エネルギー産業課
エコタウン班副主幹
松島 桂英 様
グリーンエネルギーとして注目されて普及が大幅に伸びている太陽光発電ですが、一方で普及した製品は将来耐用年数を終えると廃棄物となります。
今回のインタビューは、太陽光発電システムのリサイクルへの取り組みについて、秋田県産業労働部資源エネルギー産業課エコタウン班副主幹の松島桂英さんにお話を伺いました。
本日はお忙しいところありがとうございます。
早速ですが、秋田県では、太陽光発電システムのリサイクルにいつ頃から取り組んでいらっしゃるのか、教えてください。
秋田県では、平成21年に「シリコン等リサイクル事業化調査」の中で、使用済太陽光発電システムのリユース・リサイクル、シリコンリサイクルについて検討したのが始まりです。平成21年の調査では、シリコンを有価物としてリサイクルするのは困難、という結論に至りました。
この翌年、平成22年7月から、北九州市でもNEDOの事業として「広域対象のPVシステム汎用リサイクル処理手法に関する研究開発」事業を行い、リサイクルの処理技術の開発や、西日本を対象に回収方法・リサイクルの義務化・費用負担方法などの社会システム構築に関して検討されています。
秋田県では、東北経済産業局の平成23年度地域新成長産業創出促進事業費補助金を受けての事業を平成23年度に開始し、平成23年度はインベントリー調査、政策・業界動向の把握、事業性調査等を実施しました。
事務局は(財)秋田県資源技術開発機構で、秋田県資源エネルギー産業課が支援し、実施者として、東北大学、その他県内企業がメンバーとなる検討委員会を立ち上げています。
図1 実施体制および役割分担
今年度は、23年度の成果をもとにインベントリー調査に加えて、リサイクル処理方法に関する試験研究として、分解・解体や、シリコンリサイクルの検討、ガラスリサイクル、リユースシステムの構築についての検討や先進事例の調査等を行ないます。
秋田県内の企業も検討委員会に参加しているんですね。
秋田県の強みを活かした分野に着目した、ということでしょうか。
秋田県には、資源リサイクルコンビナートがありますので、技術的検討を進めることにより、リサイクルネットワーク構築に貢献し、北九州と連携することによって日本全国をカバーする、という将来像を描いて取り組んでいます。
図2 ネットワーク構築後の想定される将来像
太陽光発電システムは、現状、どのように処理されているのですか?
現在は、一部リサイクルやリユースされているもがあると聞きますが、大半は建築廃棄物にならざるを得ない状態です。
ただし、今はまだ廃棄される量が少ないので問題はないですが、今後廃棄量が増えていった場合にリサイクルなどの処理について検討しなければならない時期がやってきます。そのために、今から先駆けてリサイクルの検討を実施しているのです。
太陽光発電システムも、資源を含んでいるのですから、ただ埋めるのはもったいないじゃないですか。
確かに、もったいないですね。・・具体的にはどうやってリサイクルするのですか?
リユースも含めた検討をしています。
図3 県内での太陽光発電システムの処理(案)
まず、使用済の太陽光発電システムや、工程スクラップを集めてきて、使えるもの、使えないものに分別します。使えるといっても、性能が若干落ちているものもありますので、学校教材としての活用や、災害時用の独立電源としての活用も考えています。非常用電源や、簡易トイレの電源としての利用です。
使えないものは、家電リサイクル工場にて、アルミの枠を取り外し、バックシート除去、封止材(EVA)除去、銅線分離、銀ペースト分離、その他非鉄を分離していきます。回収したもののうち、銅線・銀ペーストなどは非鉄製錬所でリサイクルを、シリコンは柱状晶シリコン製造工場で、ガラスはガラスリサイクル工場でそれぞれリサイクルを行なう、というリサイクルシステムです。これらのリサイクル拠点が全て秋田県内に立地しているのが、秋田の強みです。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回は主に、太陽光発電システムのリサイクルの背景と体制についてお話しいただきました。
次回は、リサイクルの工程と問題点などをお聞きしています。