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PFOS含有廃棄物の処理で考慮すべきこと

前回まではPFOSを取り巻く最近の動向と今後の懸念事項を紹介させていただきました。
今回はPFOSを含んだ廃棄物を実際に処理するにあたって考慮すべき事項について説明させていただきます。

PFOS含有廃棄物の処理

PFOS含有製品を廃棄する際は、適切に処理できる処理施設へ委託する必要があります。特に、PFOSはPOPsで難分解性の物質であるため、どんな方法でも処理できるわけではありません。

環境省は「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(2011年3月改訂)を示しており、実証試験を行って、適正にPFOSを分解処理できることを確認できた事業所においてPFOS含有廃棄物を処理すること、と定めています。もう少し詳しくこの技術的留意事項を見ていきましょう。

(1)「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」

PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」は、PFOS含有廃棄物の取扱いについて廃棄物処理法等に従って具体的に解説されたものです。対象や保管、処理委託、収集運搬、処理方法等について示されています。今回は特に関係があると思われる処理委託と処理方法について取り上げます。

(2)処理委託

PFOS含有廃棄物の運搬や処分を委託する場合は、産業廃棄物についてそれらを業として行うことができ、委託するPFOS含有廃棄物の分類(例えば、廃アルカリや汚泥)がその事業範囲に含まれていることが必要です。もちろん、マニフェストの運用も必要となります。

(3)処理方法

PFOS含有廃棄物の処理方法は分解処理となります。
POPs条約はPOPs該当物質を含む製品及び物品の廃棄に当たり、含有量が少ない場合等を除き、POPsの特性を示さなくなるように破壊又は不可逆的に変換されるような方法で処分されることを規定しています。したがって、PFOS含有廃棄物は分解処理されるべきものであって、その他の廃棄物で実施されているような脱水等の分解処理を行わない性状で埋立処分されることはPOPs条約に照らして不適切と判断されるためです。

分解処理の具体的な要件としては、①PFOS及びその塩が確実に分解されること、②PFOS含有廃棄物の分解処理に伴い生じる排水、残さ中のPFOS及びその塩の濃度が目標値を超えないこと、③分解処理に伴い副生成される排ガス、排水中のフッ化水素の濃度が目標値を超えないこと、です。①~③の要件を満たす技術であれば、焼却以外の分解処理を排除するものではないとしていますが、現状では焼却処理が基本となると思われます。

要件の目標値は次表の通りで、分解率に至っては99.999%以上と非常に高い処理能力が求められています。

この要件については、処理開始前だけでなくPFOS含有廃棄物の性状や混焼条件などの変更によって投入条件が再設定される場合おいても確認する必要があります。また、処理期間中についても排出濃度が目標値に適合しているかどうかの確認が必要であり、処理期間の長短に応じて実施頻度が定められています。


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
山野 が担当しました

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