PFOSってなに?
1. PFOSとは
ペルフルオロオクタンスルホン酸(以下、PFOS(ピーフォス))は有機フッ素化合物であり、その撥水性、撥油性、耐熱性や耐薬品性等で優れた性質を有するため、様々な分野で使用されてきました。
しかしながら、化学的に安定であるため環境中に残留し易く、生物蓄積性、長距離移動性も認められたことから環境汚染物質として注目されました。
図:PFOS構造式
平成21年(2009年)には残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下、POPs条約)において「PFOS又はその塩」附属書B(製造、使用、輸出入の制限)に追加されました。
日本国内においても平成22年(2010年)に化学物質審査規制法(以下、化審法)の第一種特定化学物質に指定され一部の用途を除く製造・輸入・使用が禁止となり、平成30年(2018年)には全面的に禁止されました。
PFOSの処理に関しては、平成22年(2010年)にはPFOS含有廃棄物を適正に処理するために、環境省が「PFOS含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項」(平成23年(2011年)3月改訂)を公表し、DOWAエコシステムグループでも平成23年(2011年)より処理を開始しています。
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DOWAエコジャーナル PFOS(ピーフォス)含有廃棄物の処理を開始しました。
2. PFOSの用途
様々な用途の中でもPFOS等は消火薬剤、特に泡消火薬剤に界面活性剤として多く使用されていました。製品中の含有率としては最大でも2%程度です。
PFOS含有泡消火薬剤は、化審法のエッセンシャルユース規定(例外的に認められる用途:代替物質がなく、健康影響がないことが条件)に該当しないため、本来は使用禁止となるものでした。
しかしながら、既に相当数量が全国に配備されていること、その使用方法から短期的な代替製品への交換は困難であることから、表示や保管等について技術基準に従って取扱えば、継続して使用できることが認められました。
そのため等、PFOSが化審法第一種特定化学物質へ追加されてから令和2年(2020年)で10年が経過するものの、日本国内においてはPFOS含有泡消火薬剤が依然として配備されています。昨年度、環境省が実施したPFOS含有泡消火薬剤の全国在庫調査によると、少なくとも338.8万L(PFOS量として17.82t)が全国に残存しています。
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こういった状況に対して、環境省をはじめ関係省庁や関連団体が連携し、PFOS等を含まない消火薬剤への交換を推進しています。
来月は、PFOSの規制状況についてご説明します。
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この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
山野 が担当しました