過積載の危険性と背景 その3 〜過積載の危険性〜
過積載の危険性と背景 その2 〜トラックと積載重量〜 で説明した様に、トラックなどの車両は積載重量が定められており、その数量を超えて荷物を積載して運行した場合「過積載」になります。今回は、過積載の危険性についてまとめました。
■過積載はどうして危険なのか
(1)制動距離が長くなる
過積載によってトラックは走行方向へ向かう力が大きくなるため制動距離も長くなります。下記の表は定量積載10トン車の制動距離を積載量別にみたものです。
時速80キロの場合、定積(定量を積載した場合)では50.3mであった制動距離が、積載量が80%オーバーすると70.3mと、実に20mも長くなります。20mというと、おおよそ、10トントラックが縦に2台並んだ長さに相当します。定積であれば止まれていても、180%積載しているとトラック2台分進まないと止まれない、という事になってしまいます。
<例>走行速度80km/hで同時にフットブレーキを使用した場合
(2)横転
過積載をした場合に、たくさんの荷物を積むため積荷の高さが高くなりがちです。積荷の高さが高くなる事で、重心の位置も高くなります。そのため走行時の安定が悪くなりカーブで横転する危険性が高くなります。
(3)スピード超過
重量が大きければ、その分、位置エネルギーも運動エネルギーも大きくなります。
位置エネルギー=mgh (m:重さ、g:重力、h:高さ)
運動エネルギー=1/2mv2(m:重さ、v:速度)
特に下り坂では、過積載によってスピードが増し、減速した前車に追突したり、下り坂のカーブで車両コントロールができず、対向車線へはみ出したり路外逸脱(道路からはみ出す、道路から落ちる等)の危険が増します。過積載車両のブレーキ負担は大きいため、ブレーキライニングが過熱しブレーキが効かなくなるフェード現象が起こる危険性が高くなります。
また、重量が重たい場合には、運動エネルギーも大きくなるため、定積のトラックと同じスピードで衝突したとしても、衝撃が大きくなってしまいます。
この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
猪又 が担当しました