紛争鉱物とCFSプログラム(3)
OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス
【その1】紛争鉱物とは何か、またその概要
【その2】CFS(コンフリクトフリースメルター)認定について解説
今回は、米証券取引委員会(SEC)による紛争鉱物開示規制に関する最終規則にて、利用可能なデュー・ディリジェンス・ガイダンスとして記載されている、OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス(以下、ガイダンス)について、ご紹介します。
このガイダンスは、「OECD多国籍企業行動指針」、「OECDガバナンスが脆弱な地域における多国籍企業のリスク管理ツール」の原則や基準と調和した内容で、以下の4つの内容が含まれています。
- 紛争地域および高リスク地域(以下紛争地域など)からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンスの包括的枠組み
- 鉱物のモデル・サプライチェーン指針
- リスク緩和のために推奨される措置、上流企業が下流企業の支援を受けて行う改善の度合いを測定するための指標
- すず・タンタル・タングステン・金に関する補足書
■ガイダンスのポイント
1. 目的
企業が人権を尊重し、紛争への加担を回避し、持続可能で公平かつ効果的な発展への貢献を行うようにする事
2. デュー・ディリジェンスの必要性
鉱物の採掘、取引や取り扱いは、紛争への資金提供や、紛争環境を助長・促進・悪化させるリスクが高い一方で、企業はそうした悪影響に関与するリスクと切り離されていないため、企業は、紛争地域などで操業する供給業者に関連して生じる悪影響のリスクをすべて特定し、防止もしくは緩和するために、妥当な措置及び誠実な努力としてデュー・ディリジェンスを行う必要がある。
(悪影響には、人に対する危害(外的影響)、評価の失墜または企業の法的責任(内的影響)、あるいは両方が含まれる。)
出典:OECD(2011)OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス、OECDパブリッシング。すず、タンタル、およびタングステンに関する補足書(仮訳)<P34>
3. デュー・ディリジェンスを行う主体
鉱物サプライチェーン上にあって、紛争地域などからのすず、タンタル、タングステン、金を供給・利用しているあらゆる企業で、どの企業も人権侵害や紛争には絶対に加担しないようにする事を目的としてデュー・ディリジェンスを実施する必要がある。
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました