石炭の代替になるバイオマス燃料のご紹介
■はじめに
2024年11月6日に、化石燃料の代替として期待されているバイオコークスの製造装置および燃料評価装置を導入し、民間企業としては初めて開発から製造・品質評価までを一貫して行える体制の構築についてプレスリリースしました。
民間初となるバイオコークスの開発・製造・評価の一貫体制を構築 ~様々な原料を用いたグリーンな燃料の開発を本格推進~
バイオコークスについては、以前、近畿大学・井田民男先生の記事を掲載しておりますが、改めて紹介したいと思います。
■バイオコークスとは
バイオコークスは、近畿大学の井田民男教授が研究・開発をしたもので、動植物から生まれた生物資源(バイオマス)を原料に作られたバイオマス固形燃料の一種です。石炭や石炭コークス等の化石燃料の代替燃料としての活用を目的に開発され、カーボンニュートラルな燃料として脱炭素社会の構築に期待されています。
弊社はこれまで井田教授とともに木質系、農業系、廃棄物系など様々な原料を用いたバイオコークスの製造に関する研究開発に取り組んできました。
■バイオコークスの製造フローと特徴
バイオコークスの製造フローは、自然界で石炭が作られる過程を短時間で疑似再現したものとなります。
- 充填:バイオマス原料を反応容器に充填する
- 加圧:反応容器内でバイオマス原料を加圧し、密度を高めて成型を行う
- 加熱:加圧状態で加熱をし、原料成分の熱分解と熱硬化反応により強度を高める
- 冷却:反応容器を冷却することで原料の反発による成形崩れを防ぐ
上述した製造フローにより、バイオコークスは次の4つの特徴を持つことができます。
- 高強度であること
製造工程において、加圧・加熱をすることで高密度・高純度となり、石炭コークスに近い強度を持たせることができます。 - 燃焼維持時間が長いこと
高密度・高純度であるため、1,000℃を超える高温化でも形状を保持することから、燃焼維持時間を長く保たせることができます。 - 原料適用幅が広いこと
製造工程に加熱過程と冷却過程があることで強度や成形性が高まり、様々な廃棄物資源をバイオコークスにすることができます。
原料によって生産効率は変わりますが、籾殻、稲わら、蕎麦殻、コーヒー豆など、多種多様なバイオマス資源から燃料を製造することができることを確認しています。 - 保管容易性が高い
石炭コークスと同様に自然発火の危険性は比較的低く、高強度であることから輸送時や保管時の破損も少なく、水に溶けず、腐敗もしないことから長期間の保管に適しています。
■バイオコークスの用途
CO2削減が求められている企業にとっては、カーボンニュートラルな燃料として活用が可能です。
バイオコークスの用途先としては、工業炉や溶融炉や廃棄物焼却施設、ボイラー燃料(発電、暖房など)、変わったところでは薪ストーブ燃料などでの活用にも期待されています。
なお、グループ内の廃棄物処理施設(溶融炉)において、農業系残渣を原料としたバイオコークスが石炭コークスの一部を代替可能であることを確認しております。
■終わりに
今後は、多様な原料サプライヤーやバイオコークスユーザーとの関係構築を進め、安定的な原料調達と顧客ニーズに応じた製品開発を推進し、普及拡大に取り組んでいきます。
化石燃料の脱炭素化を図りたい方、未利用バイオマスでお困りの方など、ご興味を持たれた方は是非ともお問い合わせください。
【参考記事】
バイオコークスの研究と未来 その1 | その道の人に聞く
バイオコークスの研究と未来 その2 | その道の人に聞く
バイオコークスの研究と未来 その3 | その道の人に聞く
バイオコークスの研究と未来 その4 | その道の人に聞く
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
市原 が担当しました