使用済み食用油をリサイクルし、CO2削減に貢献!
バイオディーゼル岡山では、2009年の操業開始以来、廃食用油を回収してバイオディーゼル燃料(BDF)の製造・販売に取り組んできました。今回は、当社のBDF製造事業についてご紹介いたします。
■BDFって?
バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel:BDF)とは、生物由来の油から作られる燃料の総称です。バイオマスエネルギーの一つであり、廃棄される食用油などが原料として使用されます。化石燃料の代替品として使用されることで、CO2削減効果が期待できます。
■回収~供給の流れ
①回収
タンクローリー車
原料となる廃食用油は、岡山市内の一般家庭や学校給食の他、岡山県南エリアを中心に食品製造工場やスーパー、飲食店などから回収しています。
家庭から出た廃食用油は、ペットボトル等に入れられゴミステーションに出されます。その後岡山市のリサイクル拠点でドラム缶へ集約されたものを回収車で回収します。
家庭以外からは、回収車で各所を回り、容器等に保管されたものを回収します。
全体量のうち、家庭からの回収が約2割で、残りが事業系からの回収になります。
操業を開始した2009年以降の累計販売量は約6,600kLに及びます(2022年3月末時点)。
この数量は、CO2換算で約17,000tに相当します(温室効果ガス総排出量算定方法ガイドラインに基づき全量軽油代替使用として算出)。
②BDF製造
製造工場
「前処理」「反応」「静置分離」「精製」の4つの工程により、廃食用油からBDFを製造しています。製造工程の各段階で適切な品質管理を行っています。
約2日間かけて製造を行います。
- 【前処理】
- 負圧状態のタンクへ廃食用油を噴霧し、水分・脂肪分・臭気を除去
- 【反応】
- メタノール・水酸化カリウムを入れて撹拌
- 【静置分離】
- タンク内で静置し、BDFとグリセリンに分離 ※グリセリンは当社食品リサイクル工場で再利用
- 【精製】
- 負圧状態のタンクへ粗BDFを噴霧し、水分とメタノールを除去。その後酸化防止剤等を添加
③供給
製造したBDFは軽油、灯油、重油の代替として、ディーゼル燃料で動く車両の他、焼却炉や温水プール等のボイラー、発電機などに利用されています。BDFは危険物第4類第3石油類に区分されるので、輸送や保管では危険物の規定の則った取り扱いが必要となります。通常は専用タンクローリー車で供給しています。
■岡山市との連携
岡山市は、家庭から発生する廃食用油を回収し、リサイクルを行っています。バイオディーゼル岡山ではその取り組みに協力し、回収された廃食用油をBDFにリサイクルする活動を行っています。
また、岡山市は県内の他市町村と連携し、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す取り組みを行うことを共同で宣言しました。このようなゼロカーボンに向けた取り組みにもBDFを供給する形で連携していきます。
参考:2050年二酸化炭素排出実質ゼロを目指します | 岡山市
■バイオディーゼル岡山のBDFの特徴
・製品情報
- 商品名
- :momo-oil(モモ オイル)
- 規格
- :B100 ※100%バイオディーゼル燃料
- 代替できる燃料
- :軽油、灯油、重油
・認定について
バイオディーゼル岡山のBDFはエコマークと岡山県エコ製品の認定を取得しています。
エコマーク・・・環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品に付けられる環境ラベル
岡山県エコ製品認定・・・岡山県が定める基準を満たした再生品であるという認定
・製造能力
製造能力は年間1,200kLと、国内では大型となる製造設備を有しています。
■おわりに
現在、地球温暖化対策として世界的に脱炭素の取り組みが進んでいます。中でも、化石燃料の使用によって排出されるエネルギー起源CO2の排出量は非常に大きく、脱炭素に向けた課題の一つです。さらに、軽油、灯油、重油を使用している施設では、電力のようにCO2を排出しない再生可能エネルギーの調達が難しいことから、削減が難しいとされています。
バイオディーゼル岡山では、数少ない化石燃料の代替として廃食用油を使ったBDFの製造と供給を行うことにより、特に脱炭素化の難しい化石燃料を直接使用する分野の地球温暖化対策に貢献していきます。
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました