業務用冷凍空調機器からのフロン類充塡量・回収量等の集計結果(令和3年度)が公表されました
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(以下、フロン排出抑制法)に基づき、令和3年度の業務用冷凍空調機器からのフロン類充塡量・回収量等の集計結果が公表されました。
1. 公表内容について
フロン排出抑制法では業務用冷凍空調機器の廃棄時及び整備時において、フロン類の回収が義務づけられています。フロン類は回収されたのちに許可業者に引き渡され、再生(リサイクル)または、破壊することが規定されています。
(出典)フロン排出抑制法の概要(経産省HPより)
フロン類を充填・回収した業者(第一種フロン類充塡回収業者)は毎年都道府県知事に充填量と回収量を報告することになっており、フロン類の充填量と回収量が環境省のHPで公表されています。
令和3年度に、
充填されたフロン類の量は約4,664t(充填台数約53万台)、
回収されたフロン類の量は約5,143t(回収台数約155万台)でした。
数量としては回収量の方が多くなっていますが、それはフロン類を回収した機器の台数が、フロン類を充填した機器の台数を上回っていることによるものです。
なお、冷凍空調機器1台あたりでは回収量よりも充填量の方が多いと推計されています(1台あたりの充填量約8.7kg/台、回収量約3.3kg/台)。
また、フロン類の回収は冷凍空調機器の整備時と廃棄時に実施されます。
廃棄時の回収率は、推計値で約40%でした。
この回収率は廃棄時の残存冷媒量(推定)と廃棄台数から推計された廃棄された冷媒量の総量と、廃棄時の回収量から、計算されています。
※(廃棄時の回収量)3,947t ÷(廃棄時の残存冷媒量)9,935t ≒ 40%
2. 回収率について
上記の通り、業務用冷凍空調機器を廃棄する際のフロン類の回収率は2015年ころから約40%とおおむね横ばいで推移しています。
(出典)令和3年度のフロン排出抑制法に基づく業務用冷凍空調機器からのフロン類充塡量及び回収量等の集計結果について(経産省HPより)
フロン類は回収されたのちに許可を受けた破壊業者(処理業者)や再生業者に引き渡されます。フロン類の回収率が約40%だとすると、残りの60%は許可を受けた業者による破壊・再生が行われていないことになります。
3. 適切な回収が必要な理由 ~地球温暖化への影響~
フロン類は温室効果ガスであり、大気中に放出されると地球温暖化の原因となります。フロン類の温室効果は二酸化炭素と比較しても数百倍から1万倍以上です。
(出典)地球温暖化への影響(環境省HPより)
そのため、大気中に放出しないようにする必要があります。フロン排出抑制法でも規定されており、罰則も設けられています。
フロン排出抑制法
第八十六条
何人も、みだりに特定製品に冷媒として充塡されているフロン類を大気中に放出してはならない。
第百三条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(中略)
十三 第八十六条の規定に違反して特定製品に冷媒として充塡されているフロン類を大気中に放出した者
フロン類を回収し、再利用するか適切に破壊することで大気中への放出を防ぐことができます。フロン類の適切な回収は、地球温暖化対策に大きく貢献します。
4. さいごに
フロン類の回収は上記の通り地球温暖化対策の観点から重要であり、回収率を向上させることが望まれます。
DOWAグループは、回収されたフロン類のうち再生できないフロンを焼却により破壊する、温暖化対策事業を行っています。
DOWAグループは廃棄物処理のノウハウを活かし、今後も、引き続きフロンの適正処理に尽力してまいります。
詳しくは環境省ホームページをご確認ください。
令和3年度のフロン排出抑制法に基づく業務用冷凍空調機器からのフロン類充塡量及び回収量等の集計結果について
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
後藤 が担当しました