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PCB特措法とPCB廃棄物処理基本計画

8月号の法規と条例で「PCB廃棄物処理基本計画変更のポイント」について、9月号では「PCB特措法施行令・施行規制等の一部が改正されました」について、解説しました。PCB廃棄物の具体的な処理期間などはそちらをご覧ください。

今回は、廃棄物処理法・PCB特措法・PCB廃棄物処理基本計画の関係及び、処分期間の考え方について解説します。

【1】法律に基づいて定められる基本計画

ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下、PCB特措法)は、廃棄物の処理全般を規制する一般法である廃棄物処理法の枠組みの中で、特に処理が滞っていたPCB廃棄物の処理を促進するため、平成13年に制定された法律です。ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画は、PCB特措法第6条第3項に基づいて具体的な処理体制や処理推進方策を定めるために、平成15年に告示されました。

最近では、PCB廃棄物の処理を促進するため、保管事業者に処分期間内の処分を義務付け、都道府県知事の報告聴取と立ち入り検査の権限の強化、高濃度PCB廃棄物代執行等を規定する内容のPCB特措法の一部改正が平成28年5月に公布されました。この法改正の中で、政府が一丸となって取り組むため、PCB廃棄物処理基本計画が閣議決定により定められることとなりました(従来は、環境大臣によって定められていました)。

そして、PCB廃棄物処理基本計画が平成28年7月に改訂されました。


ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の策定について(環境省 平成15年4月22日)
参考1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の位置付け

PCB特措法では、PCB廃棄物の処理を確実かつ適正に推進するための体制を整備する仕組みが規定されています。それに基づくグランドデザインを示すものとしてPCB廃棄物処理基本計画が策定され、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するために必要な基本的な方針や具体的な事項が定められています。

【2】処分に関する期限について

PCB廃棄物処理基本計画とPCB特措法の平成28年改正で変更となった項目の1つに処分の期間があります。処分の期間を守らない保管事業者には改善命令が出され、これに違反した場合には、厳しい罰則がありますので注意が必要です。

そもそも、どうして処分期限が定められているのでしょうか。その理由は以下の2つです。

  1. ストックホルム条約
  2. 中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下、JESCO)の事業期間

1. ストックホルム条約

日本は、平成15年にストックホルム条約に加入しました。このストックホルム条約にて、PCBに関しては平成37年までの使用全廃、平成40年までの適正な処分が求められています。

2. JESCO事業期間

計画的処理完了期限は、JESCOの処理施設が立地する地域の関係者との約束を踏まえて設定されたもので、その達成に向けてあらゆる努力を払うことが必要とされています。PCB廃棄物処理基本計画には、JESCOの処理施設ごとの計画的処理完了期限と事業終了準備期間が定められています。

計画的処理完了期限 JESCO処理施設にて処理を完了する期限
事業終了準備期間 処理量の見込みに含まれない廃棄物の処理や処理が容易ではない機器の存在、事業終了のための準備を行うための期間

処理拠点ごとの計画的処理完了期限、事業終了準備期間は、8月号の法規と条例「PCB廃棄物処理基本計画変更のポイント」または、環境省ホームページ「PCB廃棄物処理基本計画」にてご確認ください。

【3】処分の期間

保管事業者、所有事業者の方々に関係のある期日は、PCB特措法にて規定されている「処分の期間」です。
県ごとの処分の期間は、9月号の法規と条例「PCB特措法施行令・施行規制等の一部が改正されました」または、環境省ホームページ「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」にてご確認ください。

これらの期日は、処理施設の計画的処理完了期限に基づいて定められています。

高濃度PCB廃棄物の処分の期間 計画的処理完了期限の1年前の日まで
高濃度PCB使用製品の処分の期間 計画的処理完了期限の1年前の日まで
特例処分期限日(確実に処分委託する等一定の要件に該当する保管事業者、所有事業者) 計画的処理期間から1年を経過した日

なお、低濃度PCB廃棄物の処分の期間は、平成39年3月31日までです。

PCB特措法第10条に定められる処分期間内に処分せず、都道府県知事から改善命令が出され、これに違反した場合、3年以下の懲役又は千万円以下の罰金または併科(第33条)という罰則が定められています。

【参考資料】

環境省ホームページ
ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理


上田 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました

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