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メキシコシティーのごみ事情

メキシコシティは人口約900万人で、北米のニューヨークやロサンゼルスよりも人口が多い都市です。以前は連邦区(Districto Federal)でしたが、2016年よりCiudad de Mexico(メキシコシティー)に変更になりました。シティー(市)と呼ばれますが、メキシコで最後に連邦加入した32番目の州で、この国の首都です。

メキシコシティーは他の州に比べるとエコ意識が高く、2020年1月1日より、プラスチックの袋やごみ袋は生分解性プラスチックのものしか使用できない決まりになり、スーパーなどで売られているごみ出し用の袋も9割以上生分解性プラスチックです。

メキシコシティーは以前に比べるとごみに対しての意識やエコに対する意識が高くなっているとはいえ、ごみを悪気なく道端に捨てる人はまだまだ多いのが現状です。

収集方法

メキシコシティーのごみ収集方法は、日本と同じように住んでいる区、市町村によって異なります。

ある区では決まった曜日のみの収集だけど、他の区では毎日収集があるなど、住んでいる地域によって違いがあります。毎日収集がある区でも、前触れなく収集がお休みの時もありますが、基本的に毎日収集がある地域では365日収集があり、メキシコでは大事なイベントであるイースターやクリスマスの時も収集に来てくれます。

ごみ収集の時間帯は午前中が多いようです。大きなベルの音が聞こえたら、収集車が近くにいるというサインです。収集車は1ブロック毎に停車するので、停まっているところまで行きごみを渡します。日本のようなごみステーションがないので、日中家を空ける場合は収集車が来るまで待つ住民もいますし、管理人やセキュリティーがいるアパートやマンションの場合には、敷地内に生ごみ用とそれ以外のごみ箱が設置されていてごみをいつでも出せます。

エリアによっては、収集車がベルを鳴らさず、作業員が「Basura (スペイン語のごみ)」と大きな声で叫ぶので、その声が聞こえたら玄関のところにごみを置いておくというところもあります。また、お昼前までに収集したごみを分別する施設場所に自分でごみを持って行くこともできます。

メキシコではチップの習慣があるので、どの方法でごみを出しても、ゴミの量によって5ペソ〜20ペソ程度(約30円〜120円。※地下鉄切符、距離に関係なく1回5ペソ=30円、ペットボトル600mlのジュース15ペソ=90円程度)渡した方がいいとされています。

日本ほど細かくない分別

他の州は分別することなく全て一緒に捨てるところが多いですが、メキシコシティーでは生ごみ(organicos)と生ごみ以外のごみ(inorganicos)を分けて出します。これは家のごみだけではなく、公園やショッピングモールにあるごみ箱でも分別ごみ箱となっています。そして収集車の投入口も生ごみと生ごみ以外のごみに分かれています。

出典:メキシコシティー政府環境局 Secretaria del Medio Ambiente HP

公園のゴミ箱。左:生ごみ以外のゴミ。右:生ごみ。

参照写真:左の1/3が生ごみ、2/3がごみのスペースが確認できます。

出典:メキシコシティー政府環境局 Secretaria del Medio Ambiente HP

メキシコシティー政府は曜日別のごみ出しを推奨しており、生ごみは火、木、土、生ごみ以外は月・水・金・日、粗大ゴミや木製家具などは日曜日、というポスターがバスの停留所や駅内に貼られています。

地下鉄駅構内の政府のごみゼロ(barura cero)のポスター。Haz tu parte=あなたの役割をやりましょう。

ただ収集業者によると、この曜日別のごみ出しについては、ごみを出す側(住民)の浸透度合いが地区によって差が出ているようです。例えば、生ごみの収集日に生ごみ以外のごみを出してしまったり、収集日に関係なくごみを分別場所に持って行ったりする住民が多い地区があり、これはごみの出し方に関する教育が行き届いておらず住民に曜日別のごみ出しが浸透していないのが原因と考えられているそうです。

上の写真は収集業者が各アパート・マンションや公園など回るときに持っているものです。手前の赤いドラム缶はプラスチック系のごみ、奥は段ボールなどと分けています。この写真で分かるように、段ボールは畳まずに出すのが一般的なので、収集後、収集業者が畳みます。黒い袋には埋立てられるものです。

生ごみと生ごみ以外を分けて出すのですが、生ごみ以外のごみの袋にリサイクルできるペットボトルやプラスチック、金属、紙、服なども一緒に出す人が圧倒的に多いので(生ごみ以外のごみを分別することが住民の間では浸透してないように思います)さらに簡単に分別せざるを得ないようで、ごみを出す時、袋の封はしてない方が作業をしやすいようです。

ある程度分別できたら埋立てのものはごみ山の集積所に向かい、前述したリサイクルできる物は、また別の施設に向かいます。

写真:小さな分別施設で午前中に集まったごみをこの屋内外スペースで分別し、埋立ての場合はこのトラックでメキシコ州の集積所に向かいます。

メキシシコシティで収集されたごみの埋め立て処分場、メキシコ州ソチアカ。
写真:メキシコの新聞、ニュース会社のウェブニュース記事より。

前述したように、日曜日はメキシコシティー政府が粗大ごみの日と推奨していますが、日本の廃品回収のような民間業者もいて、毎日「洗濯機、マットレス、冷蔵庫、買います」と耳に残るメロディーをメガホンで流しメキシコシティー内を回っています。彼らのトラックを毎日見かけますが、荷台には何かしら積まれているので、便利なサービスとも言えます。

分別後の再利用

堆肥になる生ごみとそれ以外を分けるだけでなく、メキシコシティー政府はできるだけ分別して埋立てのごみの量を減らし、ごみをリサイクルしたり再利用する努力もしています。(下の表は2019年のものです)

出典:メキシコシティー政府、ごみゼロ運動ホームページ、単位:トン

日本に移住した外国人がまず苦労するのがごみの出し方と言う程、日本のごみ出しは良い意味で厳しいですが、ここメキシコシティーでも少しずつ分別するようになれば、職員の手間も省け、埋立られるごみの量も減らせるようになります。
ただ、ラテンアメリカ気質のあるメキシコの国民性の面からも、きちんと分別されるようになるまでには時間がかかるのが現状だと言えます。

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この記事は
メキシコ在住フリーライター
阿部 が担当しました

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