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ニューヨークの新しい生ごみ回収

今回はアメリカ、ニューヨークの生ごみ回収事情について紹介します。

全米の中でもエコ活動が盛んなニューヨークですが、その中でも近年は“Compost”に力を入れています。

Compost(コンポスト)とは、有機物を分解させ肥料やクリーンエネルギーに変えることです。つまり、野菜や果物の皮やカス、また庭からでる自然のごみ等を回収し、環境に無害な方法で処理、そして再利用するのです。基本的には“土に返せるもの”が基準になっています。

Twitter @NYCzerowaste

現在ニューヨーク市の中でも特定の地域でコンポストの収集がされています。基本的には、市が建物のオーナー等と協力して、アパートなどで専用の回収ボックスを設備しています。また、個人的にコンポスト回収をお願いしたい人も市のウェブサイトから申し込みができるようになっています。前提として、ニューヨーク市の家庭ごみ収集及び処理は税金で補われている為、コンポストを含め、全て無料で回収してくれます。

下の写真にある指定の茶色い回収ボックスを、毎週地域ごと決められた曜日に家の前に置いておくと、回収に来てくれるというシステムです。ただし、決められた曜日以外の日に誤ってゴミを出してしまうと、罰金が科せられるケースがあります。

Twitter @NYCzerowaste

コンポスト収集プログラムは2013年に導入され、今現在350万人の市民が参加していますが、今後ももっと拡大予定だそうです。

そして対象外の地域でも、住民たちが自らコンポストを持っていける回収場所がたくさん用意されています。毎週各地域で開催されるローカルマーケットに、コンポストの回収場所が設置されており、多くの人は買い物に行くついでに、家からコンポストを持っていきます。

ニューヨーク市内に現在170ヶ所の回収場所が用意されているので、市内に住んでいればアクセスも簡単です。下のマップは実際の回収場所を示しています。

GrowNYC GrowNYC Food Scrap Collection Schedule

新しい試みという事もあり、正しい分別の仕方などは市のウェブサイト、またはSNS等でも分かりやすく書かれていて、情報も入手しやすくなっています。

下の図は、茶色い収集ボックスに入れても良いものをイラストで分かりやすく表しているものです。基本的には、食べ物であれば細かい規制はありません。また、表面が加工されていない紙類も一緒に回収してくれます。

ボックスに直接生ごみを入れても大丈夫ですが、冬だと生ごみが凍ってしまい、ボックスの内側に張り付いて残ってしまうので、ボックスの中にゴミ袋をセットしておくように勧められています。

PS 321 PS 321 Recycling Guide

しかし、回収場所に自分で持っていく場合に限っては、肉や魚、乳製品、油などの持ち込みは禁止されており、収集ボックスよりも少しだけ厳しいガイドラインがあります。

それぞれの回収場所ではプロのスタッフが1つ1つ確認して、コンポストできないものが紛れ込んでいた場合には分別してくれます。またコンポストについて分からないことがあれば何でも教えてくれます。

Twitter @NYCzerowaste

生ごみなので、臭いが問題になるような気もしますが、ニューヨークはどこに行ってもとにかくクサい場所が多いので、住民は慣れてしまっているのもあり、そこまで問題視はされていません。また、先ほどの写真にもあったように、支給される茶色いボックスには蓋が付いていて、ねずみや虫が集らないように工夫がされているそうです。

一応対策としては、家の中で生ごみをゴミ箱に捨てるのではなく、回収に出すまでは冷凍庫で保存することが推奨されていて、実際に多くの人がそうしている様です。紙袋が家にある場合は、生ごみを入れて紙袋ごと冷凍すれば、冷凍庫の場所も取らない上に、そのまま外のボックスに入れる事ができます。紙袋がない場合は、ボウルや容器に入れて冷凍できます。

市の努力の甲斐もあり、2018年の1年間だけで50,000 トン以上ものコンポストの回収に成功したそうです。

Photo by: Michael Anton, DSNY Inside NYC's organics collection program

しかし、いくらこういった活動が進んでいるとは言っても、エコ自体に無関心な人がたくさんいることも現実問題です。

貧富の差がアメリカで一番大きいと言われているNYですが、特に貧困層の住民たちは比較的こういったエコ活動に非協力的な傾向があります。

Talk trash city

そういった部分は、貧困層の教育の向上をすることが解決法だと考える政府は、できるだけ多くの子供たちが大学に進学できるよう、無料で参加できる大学準備の為のプログラムなどにも力を入れています。また2017年からは、一定の年収を下回る家庭の子供たちは、市立、または、州立大学の学費が免除されています。

環境問題を始め、ニューヨークが抱えている問題を解決する為、市は教育の改善、向上を最優先させています。きちんと教育された市民を増やし、ごみ問題の改善につなげる事が、今のニューヨークの課題となっています。


この記事は
ニューヨーク在住
オコイエ アドーラ が担当しました

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