すばやい行動で、フランス国民が取り組んでいる廃棄物処理と対策 その1
フランスは、法律に反対の場合、国民が一体となってストライキをする文化がありますが、賛成した法律ならば、国民が一体となって達成していく国です。
このフランスで、廃棄物による環境問題(気候変動、海洋汚染、二酸化炭素排出、水不足、天然資源の枯渇...)を悪化させないために、2020年より「AGEC法 La loi anti-gaspillage pour une économie circulaire」(循環型経済のための廃棄物対策に関する法律)が、実施されています。
この法律は、“生産、消費、廃棄という直線的な経済を、循環型経済へと転換することを目的”としている法律です。
2020年より、この法律が実施されてから、私の住むフランス・ノルマンディー地方カーン市でも、AGEC法を達成するために、廃棄物の処理の仕方やその対策が良い方向へ、どんどん変わってきています。
今回、一般家庭で、どの様にごみが捨てられ、どの様な対策が取られているのか、お伝えします。
市から無料で支給、自宅に届いた「3つのゴミ箱」
写真:市から無料で受給した3つのゴミ箱とゴミ箱が届くまで使用していたゴミ袋
2020年まで、一軒家の一般家庭のゴミは、市から指定された、ビニールのゴミ袋に入れて捨てていました。
例えば、上記写真のように、ペットボトルや紙類などリサイクルできるゴミは、市から無料で支給されていた黄色いビニール袋へ入れて、ゴミ出しの日に出すことが義務付けられていました。
AGEC法では、2040年までに使い捨てプラスチック包装の市場流通を廃止することが主な目標の一つとなっています。
そのため、ゴミ用のビニール袋を廃止するためにゴミ箱へ切り替わりました。
また、この市から無料で支給されていたゴミ用のビニール袋(指定された役場から受け取ります)をゴミを入れる以外の用途に使用する人が多く、問題視されていました。
写真:必要なくなった赤ちゃんの用品をホコリがつかないように収納袋の代わりに、大きさが丁度よいゴミ用のビニール袋を使用
2021年、ビニールのゴミ袋使用禁止に伴い、“ゴミ箱での回収に変わる”と、市から連絡があり、無料で3つのゴミ箱を受け取りました。ピカピカのゴミ箱が自宅に届き、嬉しかったのを覚えています。
このゴミ箱ですが、アフターサービスも充実しており、ゴミ箱のフタが壊れた時、市に連絡を取り、このゴミ箱を家の前に出して出勤、帰宅したときには、壊れたフタが、ちゃんと取り替えられていました。修理費、取り替えられたフタなど、全て無料でした。
ゴミ箱には、番号が記載されており、この番号で全て管理されています。なので、盗まれる心配もありません。
二酸化炭素排出量削減とエネルギー危機による回収頻度減
写真:市から無料で支給されたゴミ箱 右から、「グレーは、リサイクルできないゴミ用」、「黄色は、プラスチックや紙などリサイクルできるゴミ用」、「緑は、雑草や枯れ葉など庭から出るゴミ用」
2022年までは、毎週1回、3つのゴミ箱がそれぞれ日をずらして回収されていましたが、二酸化炭素排出量の削減とエネルギー危機による、ガソリン価格の高騰から、黄色のゴミ箱のリサイクルゴミは、2週間に1回の回収となりました。
庭のゴミは、毎週1回、回収されていますが、冬の期間(12月から2月まで)は、回収休止となります。生ごみは、1週間に1回、回収されています。
この記事は
環境・オーガニック専門フリーライター兼タラソテラピスト
KAN が担当しました