水銀汚染防止法施行令改正~特定水銀使用製品が追加されます~
令和4年(2022年)3月に開催された水銀に関する水俣条約第4回締約国会議において、新たに廃止対象と決定された水銀使用製品の一部が、我が国においても規制対象とされました。
1. 経緯
2022年(令和4年)3月に開催された、水銀に関する水俣条約第4回締約国会議において新たな水銀使用製品の廃止が決定されました。これを受け、廃止対象とされた8製品のうち以下の5製品が特定水銀使用製品として水銀汚染防止法施行令に定める特定水銀使用製品に追加され規制対象となることが決まりました。
2. 追加された特定水銀使用製品
- 脈波検査用器具に用いられるひずみゲージ
- 真空ポンプ
- 車輪の重量の均衡を保つために車輪に装着して用いられるおもり
- 写真フィルム及び印画紙
- 宇宙飛行体(人工衛星を含む)に用いられる推進薬
3. 施行期日
2025年(令和7年)1月1日
4. 今後の予定
今回の改正で規制対象とならなかった3製品(「電球形蛍光ランプ」、「冷陰極蛍光ランプ(CCFL)及び外部電極蛍光ランプ(EEFL)」、「溶融圧力トランスデューサ、溶融圧力トランスミッタ―と溶融圧力センサー」)については、国内における製造等の実態を踏まえ、個別製品ごとに廃止期限を検討し、水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の改正を行うことが予定されています。パブリックコメント実施結果別紙の「意見内容及び考え方」をご参照ください。
5. 参考
(1)参照条文
水銀による環境の汚染の防止に関する法律
(定義)
第二条 この法律において「水銀使用製品」とは、水銀等が使用されている製品をいい、「特定水銀使用製品」とは、水銀使用製品のうちその製造に係る規制を行うことが特に必要なものとして政令で定めるものをいう。(特定水銀使用製品の製造の禁止)
第五条 何人も、特定水銀使用製品を製造してはならない。ただし、次条第一項の許可を受けた者(以下「許可製造者」という。)が、同項の許可(第九条第一項の規定による変更の許可があったときは、その変更後のもの。第十二条において同じ。)に係る特定水銀使用製品を製造する場合は、この限りでない。(特定水銀使用製品の使用の制限)
第十二条 何人も、特定水銀使用製品を部品として他の製品の製造に用いてはならない。ただし、当該特定水銀使用製品が第六条第一項の許可を受けて製造された特定水銀使用製品又は外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第五十二条の承認を受けて輸入された特定水銀使用製品であって、当該許可又は承認に係る用途に用いられる場合は、この限りでない。
(2)水銀に関する水俣条約と国内担保法のまとめ
【表1】水銀に関する水俣条約で求められる項目と日本での対応
水銀に関する水俣条約で求められる項目 | 日本での対応 |
---|---|
水銀などによる環境の汚染の防止に関する計画の策定 | 水銀による環境の汚染の防止に関する法律制定 |
水銀採取、水銀等の使用禁止 | |
水銀使用製品の製造規制等 | |
水銀等の貯蔵 | |
大気への排出の規制 | 大気汚染防止法改正 |
土壌・水への放出の規制 | 水質汚濁防止法により担保済み |
廃棄物の管理(廃棄物処理法上の廃棄物) | 廃棄物処理法施行令改正 |
廃棄物の管理(廃棄物処理法上の廃棄物に該当しないもの) | 水銀による環境の汚染の防止に関する法律制定 |
輸出入の規制 | 外国為替及び外国貿易法政省令改正 |
(出典)水銀に関する水俣条約締結に向けた日本での対応(まとめ)(DOWAエコジャーナル)
詳しくは環境省ホームページ・経済産業省ホームページをご確認ください。
環境省ホームページ
「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定について[2023年11月28日]
経済産業省ホームページ
「水銀による環境の汚染の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました[2023年11月28日]
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました