フロン法の抜本的改正について
「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」が2013年6月5日国会で成立し、6月12日に公布されました。名称についても従来の「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」から改められました。施行日は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日です。
【1】これまでのフロン法
フロン法は、オゾン層の保護及び地球温暖化の防止のため、フロン類の大気中への排出抑制を目的とした法律です。
これまでのフロン法は、「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」という名の通り、特定機器の使用済フロン類の回収・破壊に関してを規制していました。
しかし、廃棄時冷媒回収率は3割程度で推移しており、経済産業省の調査によれば、冷凍空調機器の使用時においては、平均的には機器に充填されている冷媒の相当量が漏洩している事も明らかになりました。
さらに、温室効果ガス排出量インベントリ報告書によると、冷凍空調機器の冷媒用途を中心に、CFC・HCFCからHFCへの転換が進行しており、経済産業省の推計では、このまま推移すると、10年後には現在の2倍以上となる見込みである事が判明しました。HFCはオゾン層は破壊しにくい一方で、高い温室効果を持つため、温室効果ガス排出量削減の観点からは、冷凍空調機器からのHFC排出削減が特に重要であるとされました。
CFC:クロロフルオロカーボン
HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン
HFC:ハイドロフルオロカーボン
【2】改正後のフロン法
規制対象は、(1)フロン類メーカー・輸入業者、(2)フロン類使用機器メーカー・輸入業者、(3)業務用冷凍空調機器の管理者(ユーザー)、(4)フロン類の充填・回収業者の4段階に分けられます。
■新フロン法で規制対象者の役割
- フロン類メーカー・輸入業者
地球温暖化係数(GWP)の高い製品の製造・輸入を削減するために、温室効果の低いフロン類の技術開発・製造や一定の使用済フロン類の再生といった取組が求められます。 - フロン類使用機器メーカー・輸入業者
一定の目標年度内で、GWPの高いフロン類使用製品からノンフロン製品又は低GWP使用製品への転換が促されます。また指定製品(エアコン他)ごとに基準値が設定され、使用フロン類の環境影響度低減のための判断基準とされます。 - 業務用冷凍空調機器の管理者(ユーザー)
フロン類の漏洩防止のための適切な機器設置、点検、故障時の迅速な修理などが求められます。また一定の要件に該当する管理者には、フロン類の漏洩量を国に年次報告し、国が公表する制度も導入されます。 - フロン類の充填・回収業者
充填業者は都道府県知事による登録制となります。一定の技術を持った業者を登録することにより、機器整備不良のまま、冷媒を繰り返し充填するような行為を防止することが目的です。
再生業者は大臣による許可制となります。また機器の整備や廃棄の発注者向けに再生業者及び破壊業者が証明書を交付する制度を導入することで、発注者が再生、破壊が完了したことを確認できる仕組みも整えられます。
【関連する記事】
環境省・経産省により「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」説明会が開催されます。[2014年11月1日]
【参考資料】
環境省ホームページ
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)
「今後のフロン類等対策の方向性について」(中央環境審議会意見具申)について(お知らせ)
参考資料1. 特定物質の特徴と用途 CFCとHCFC
経済産業省ホームページ
「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されました」
この記事は
DOWAエコシステム 企画室
林 が担当しました