改正水質汚濁防止法(未然防止)のポイント解説(1)
~背景と概要~
改正水質汚濁防止法(未然防止)が平成が23年6月に公布され、平成24年6月1日から施行されます。地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(案)が公開されました。
今後、改正水質汚濁防止法(未然防止)のポイントを解説していきます。
第1回目の今回は概要について説明します。
■改正の背景
平成元年に改正された水質汚濁防止法では、有害物質の地下浸透が禁止されましたが、その後も有害な物質の漏えいによる地下水汚染事例が継続的に確認されました。これらの地下水汚染の原因は、施設(有害物質使用施設・有害物質貯蔵施設)の老朽化や作業ミスによることがわかりました。
一方、水質汚濁防止法では作業ミスにより有害物質が漏洩した場合を想定した地下水汚染の未然防止措置が整備されておらず、また、有害物質の貯蔵施設は法の規制の対象外でした。
以上のような背景と、地下水は国の水使用量の1割強、都市用水(生活用水及び工業用水)の約4分の1を占めているなど、貴重な淡水資源であり、一度汚染されると回復が困難であることから、地下水の保全を目的に、地下水汚染の未然防止に関する改正水質汚濁防止法が平成が23年6月に公布され、平成24年6月1日から施行されます。
■改正の概要
改正の内容に関しては、大きく4つに分けられます。
(1)対象施設の拡大
以下の場合などが新規で届出が必要となります。※
- 有害物質を貯蔵する施設(有害物質貯蔵指定施設)等の設置者
- 排水の全量を下水道に排出するなど、水濁法に基づく届出を行っていなかった有害物質使用特定施設の設置者
※既に特定施設の届出を行っている事業者は、改正法の施行時(平成24年6月1日)に、追加の届出(今回の改正で新たに設けられた設備に関するものを含め)は不要です(ただし、自治体により情報提供に関する協力要請の可能性があります。詳細はQ&Aを参照ください)。
(2)構造等に関する基準の遵守義務
(3)定期点検の実施、記録の保存の義務
ガイドラインでは、床面及び周囲、施設本体、地上配管等、地下配管等、排水溝等、地下貯蔵施設等々の構造基準や点検方法が記載されています。
(4)その他(既存の施設に対する猶予期 間等)
実施可能性に配慮して、法改正施行後の新設施設についてはA基準、既設に関しては施行後3年間はC基準、以降をB基準で構造や点検の義務を課すことになりました。
A基準またはB基準に達しない設備は、3年以内に施設の変更届出を行い、基準に適合した施設にしなければなりません。一方、改正法施行前の時点でA基準またはB基準を満たす設備は、変更届出は必要ありません。(ただし、自治体により情報提供に関する協力要請の可能性があります。詳細はマニュアル(案)Q&Aを参照ください)。
■気になるポイント
やはり、一番気になるポイントは、現在、工場にある施設が届出該当施設か、どうかになると思います。マニュアル(案)の、参考資料2に届出対象施設判定フローチャートが載せられています。是非、活用ください。
地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(案)(第1版)2/2
改正水質汚濁防止法説明会での主な質問についてとりまとめられている、「改正水質汚濁防止法に係るQ&A集(ver.1)」にも、届出に関しての説明があります。
■関連リンク
環境省ホームページ
水質汚濁防止法の改正について(平成24年6月1日施行)
平成23年3月11日大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令及び水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令の閣議決定について(お知らせ)
改正水質汚濁防止法に係るQ&A集(ver.1)
地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(案)(第1版)
1/2 本文[PDF 4,275KB]
2/2 参考資料[PDF 5,063KB]
この記事は
DOWAエコシステム ジオテック事業部
加藤 が担当しました