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水濁法改正のポイント ~地下水汚染未然防止~

水質汚濁防止法の一部を改正する法律案が、平成23年3月8日(火)に閣議決定され、第177回国会(平成23年常会)に提出されました。
5月1日現在、改正法としてまだ成立していませんが、概要をご説明します。

■水質汚濁防止法の改正の趣旨

地下水は淡水資源として水質汚濁防止法での地下浸透規制や地下水質の常時監視、地下水に係る浄化措置命令等により保護されています。しかし、政府による調査において工場や事業所からの有害物質の漏洩等による地下水汚染事例が報告されました。この状況に対して、地下水汚染の「未然防止」の観点から法律の改正が行われることになりました。水濁法改正 ~最近の動きと背景~もご覧ください。

■改正の概要

1. 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設に係る届出規定
(改正法第5条第3項、第7条)

誰が 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設設置者
誰に 都道府県知事
いつ 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設を設置しようとするとき
何を 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設の構造、設備、使用方法等を届出なければならない
罰則 違反(届出をしない、または虚偽の届出)・・・3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
いつ 届出事項に変更が発生したとき
何を 変更内容を届出なければならない
罰則 (届出をしない、または虚偽の届出)・・・3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

2. 構造基準遵守義務違反時の計画変更命令(改正法第8条第2項)

誰が 都道府県知事
誰に 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設設置者
いつ 届出があった場合
何を 施設が基準に適合していないと認めるとき、計画変更命令(構造の変更、廃止)を命ずることができる。
罰則 命令に違反・・・1年以下の懲役または百万円以下の罰金

3. 構造基準等遵守義務(改正法第12条の4)

誰が 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設設置者
何を 構造基準等を遵守しなければならない。

4. 構造基準遵守義務違反時の改善命令(改正法第13条の3)

誰が 都道府県知事
誰に 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設設置者
何を 当該施設が構造基準等が遵守されていないと認めるとき、構造の改善命令、施設使用の一時停止を命ずることができる。
罰則 1年以下の懲役または百万円以下の罰金
  • 既設施設への適用は施行後3年間の猶予期間(改正法附則第4条)

5.定期点検義務の創設(改正法第14条第5項)

誰が 有害物質使用特定施設、有害物質貯蔵指定施設設置者
何を 定期点検を実施し、その結果を記録し、保存しなければならない。
罰則 30万円以下の罰金

■改正のポイント

水質汚濁防止法の契機が拡大しました。

  改正前 改正後
届出の契機
  1. 公共水域に水を排出する者が、特定施設を設置しようとするとき(第5条第1項)
  2. 有害物質特定施設に係る汚水を浸透させる者が有害物質特定施設を設置しようとするとき(第5条第2項)
  1. 公共水域に水を排出する者が、特定施設を設置しようとするとき(第5条第1項)
  2. 有害物質特定施設に係る汚水を浸透させる者が有害物質特定施設を設置しようとするとき(第5条第2項)
  3. 有害物質使用特定施設を設置しようとする者(改正法第5条第3項)
  4. 有害物質貯蔵指定施設を設置しようとする者(改正法第5条第3項)

改正前は、「公共水域に水を排出する者」と「地下浸透を行う者」が対象でしたが、改正後は、公共水域に水を排出しない事業者も、有害物質使用特定施設・有害物質貯蔵指定施設に該当する場合には、届出だけでなく、構造基準の遵守、定期点検などが義務付けられます。

環境省HP:水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)


鈴木 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
鈴木 が担当しました

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