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ゼロウェイストショップ:英国の取り組み

英国では近年、海洋ごみ問題の取り組みとして脱プラスチック運動が加速しています。プラスチックの使い捨てストローやマドラーなどの禁止、新しい包装材の開発など政府や企業主導の動きはもちろんのこと、消費者レベルでもこの課題に取り組もうという流れが多く見られます。

Jarr Market(「ジャー・マーケット」;ロンドン) 出所:Jarr Market instagram

その一つが、食料品の量り売り専門店。パスタや朝食シリアル、穀類などを必要な分だけ量り売りで買うことができるお店です。

Jarr Market(「ジャー・マーケット」;ロンドン)

昔ながらの肉屋や八百屋など、日本でも欧米でも量り売りシステムはありましたが、新型の量り売り店は、

  1. 「包装された商品をスーパーでまとめ買い」に慣れた英国人にとって新鮮。
  2. ショップ側のプロデュースや、うれしいサービスなどの工夫。
  3. 必要な量だけ購入でき、自分の手で容器に詰めるという体験ができる。

といった点がヒットし、過去1年で一気に英国各地に普及しました。

Jarr Market(「ジャー・マーケット」;ロンドン)

Jarr Market(「ジャー・マーケット」;ロンドン)

これらのお店は無駄な包装とごみをなくすという意味で「ゼロ・ウェイスト・ショップ」と呼ばれています。つまり「出たごみをどう処理するか」よりも「最初から極力、ごみを出さない」という考え方です。

お客はマイバッグのほかに、パスタや豆などをいれる瓶や袋、タッパーなどを持参し、必要な分だけを入れてレジで計量してもらい購入します。容器の持ち合わせがない場合は、店にあるリサイクル可能の紙袋に入れることもできます。

商品は主食系やナッツ類に加え、スパイスや乾燥ハーブなどの乾物がメインですが、シャンプーや洗剤などを量り売りしてくれるお店も。エコつながりでオーガニック商品を扱っている店舗も多く、近隣のベーカリーやデリと提携し、こだわりのパンやお惣菜を揃えているところもあります。

先日は近所のゼロ・ウェイスト・ショップで、量り売りのピーナツをその場でピーナツバターにし、持参の瓶に詰めてくれるサービスを発見しました。これはつい試してみたくなります。

たんに昔の乾物屋を再現するのではなく、商品バリエーションをふやし、ワンストップで買い物が終わるように工夫したり、自然光を取り入れたナチュラルでモダンなデザインを取り入れてお洒落なムードを演出。

Bulk Market(「バルク・マーケット」;ロンドン) 出所:hello magazine

脱プラスチックを声高に叫ぶのではなく、つい入ってみたくなるお店作りで消費者にアピール。それが結果的にエコにつながる。プロデュースの仕方が上手だなと感じました。

Bulk Market(「バルク・マーケット」;ロンドン) 出所:Time Out

大手スーパーもこれにならい、試験的に量り売り方式を採用しはじめました。
ごみを減らすだけでなく、食料を自分の手で詰めるという小さな「体験」が、エコを自分のものとして積極的にとらえるきっかけになっていくのではないでしょうか。


この記事は エコジャーナルサポーター
英国のフードカルチャーやエコについて執筆、そして
アート制作な日々を過ごす ネモ・ロバーツが担当しました

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