生物多様性保全に関する規制はできるのか?
Q.「生物多様性第10回締約国会議(COP10)」での議論を経て、今後、「生物多様性」に係る具体的な規制ができるのでしょうか?
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今年5月に発表された「地球規模生物多様性概況3(GBO3)」や「生物多様性総合評価報告書(JBO)」では、世界及び日本における生物多様性の劣化は著しく、COP6(2002)において設定された「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という2010年目標は、達成できなかったと結論づけられました。
その原因の一つとして、具体的な規制や数値目標がなかったことを挙げる意見もあり、COP10においては、これらについて意見が交わされました。
しかし、現状においては生物多様性についての概念が明確でないことや、評価の基盤となる指標の選定、評価方法など、科学的知見が不足していることから、具体的な規制に至るまでの道のりはまだあるものと思われます。昨年8月に発表された「生物多様性民間参画ガイドライン~事業者が自主的に生物多様性の保全と持続可能な利用に取組むために~第1版」は、規制的なものではなく、生物多様性基本法の責務規定等に基づいて、あくまでも事業者の方々が自主的に取り組む際の指針等が示されています。
このガイドラインは、第一弾として基礎的な情報や考え方を、多くの業種に共通する一般的な内容として示していますが、今後、生物多様性の状況や、国際的な取り組みの進展、社会的な理解や知見の集積、事業者の方々の認識・取り組みの熟度の高まり等に応じて、段階的に発展、改訂されることが考えられます。
「生物多様性国家戦略」等の見直しも含め、その動向に注目していくことが必要と考えられます。