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廃棄物処理法の改正に伴う質問

廃棄物処理法の改正が公布され、様々な疑問が寄せられています。今回は質問をいくつかに大別し、お答えしています。さらに細かい質問等ありましたら、メール(記事末尾のリンク先)、または、直接担当者までご連絡ください。

Q1. 今回の法改正で排出事業者が特に気をつけなければならないことは何ですか?

A:

今回の改正の大きな柱のひとつは「排出者責任の強化」です。その排出者責任に関係する主な改正点には「場外保管の届出」、「実地確認の努力義務」、「マニフェストA票保存の義務」があります。この3点は排出事業者に直接影響するので、注意が必要です。
「場外保管の届出」では、廃棄物が排出される事業場の外で廃棄物を保管する場合は、都道府県知事に届出ることが義務付けられました。
「実地確認の努力義務」は、排出事業者は実際に廃棄物が適正に処理されているかどうかを確認することが求められます。
「マニフェストA票保存の義務」では、これまで保存が義務付けられていなかった A票の保管が義務づけられました。
これらの改正点については、今後、省令等で詳しく定められるとみられますので、その内容に注目しておくことが必要です。

Q2. 「排出事業者による産業廃棄物の処理の状況の確認の”努力”義務」

どのような点を確認する努力が必要なのでしょうか?

A:

まずは、廃棄物処理法で定められた保管基準や処理基準を守って処理されていることを確認しましょう。また、信頼のおける工場かどうかを確かめるために、作業員はきちんと安全を守って作業しているか、構内通路はきれいに保たれているか、などもポイントになります。今後、環境省から具体的な確認の方法が通知されることも考えられるので注目しておくことが必要です。

Q3. 「マニフェスト交付者が交付したマニフェストの写しを保存する義務」

A票をなくしたらどうすればよいのですか?

A:

法律上は、A票を紛失した時点で違反となってしまいます。これまでも施行規則ではA票の保存義務が定められていましたが、罰則はありませんでした。
今回の改正で法律に盛り込まれ、罰則の適用もあります。A票は、B票以降と違って排出事業者の手元を離れることはないので紛失の可能性は低いですが、十分注意すべきです。万が一、紛失してしまった場合は行政に相談してください。

Q4. 「産業廃棄物処理業者がマニフェストの交付を受けないで廃棄物の引渡しを受けることの禁止」

1. 今までは禁止ではなかったのですか?

A:

そのとおりです。これまで、廃棄物の引渡しを受ける際にマニフェストの交付を受けることを処理業者に義務付ける法律はありませんでした。違反すれば6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
ただし、これまでどおり排出事業者にはマニフェスト交付の義務があります。違反すれば、2年以下の懲役又は2百万円以下の罰金に処せられます。

2. マニフェストの交付を受けないというのはどのような場合ですか?

A:

原則として、廃棄物処理を委託するときにはマニフェストの交付が必要です。ただし、マニフェストの交付を要しない場合があり、施行規則第8条の19に定められています。マニフェストが不要なのは、主に次のような場合です。

  1. 市町村や都道府県、国に委託する場合
  2. 再生利用認定制度、広域認定制度の対象となる廃棄物の処理を委託する場合
  3. 海洋汚染や海上災害において生じた廃油の処理を委託する場合
  4. 産業廃棄物を輸出するときに、相手国までの運搬を委託する場合

Q5.「処理困難の通知を受けた際の措置」

「処理困難の通知を受けた際の措置」とはなんですか?
また、実際に通知を受けたらどうすればよいのですか?

A:

「場外保管の届出」、「実地確認の努力義務」、「マニフェストA票保存の義務」の3点はもちろんですが、「処理困難の通知を受けた際の措置」にも気をつけなければなりません。というのは、いくら排出事業者がきちんと法律を守っていても、処理業者がひとたび処理困難に陥れば、巻き込まれてしまう可能性があるからです。
今回の改正では、処理業者は処理が困難になった場合、又はその恐れがある場合は委託した排出事業者に通知せねばならない、とされました。
通知を受けた排出事業者は、マニフェストが返送されない場合やマニフェストに虚偽記載があった場合と同様に、速やかに処理状況を確認し、適正処理のために必要な措置を講じなければなりません。
具体的に何をすれば良いかというと、現行の施行規則では、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講じ、報告書を都道府県知事に提出するとされています。
実際には行政と相談しながら、法を守って適正処理を行う、または許可を受けた処理業者に改めて委託することになるでしょう。適切な措置を講じない場合、措置命令の対象にもなります。
この規定は、廃棄物を適正に処理する責任はあくまでも排出事業者にあるという原則の表れともいえます。処理困難の通知を受けてから慌てないように、あらかじめ優良な処理業者と適切な委託契約を結ぶことも大切です。

Q6.「多量排出事業者処理計画を作成・提出しない物に対する罰則」

多量排出事業者の定義を教えてください。

A:

多量排出事業者とは、「前年度の産業廃棄物の発生量が千トン以上である事業場を設置している事業者」、特別管理産業廃棄物については「前年度の特別管理産業廃棄物の発生量が五十トン以上である事業場を設置している事業者」とされています。自治体によっては独自の基準を設けている場合がありますので、廃棄物の発生事業場の設置場所の自治体に確認することも必要です。
多量排出事業者は、減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければなりません。この作成・提出義務を怠った場合は、二十万円以下の過料に処せられます。

Q7.今回の改正で、処理業者にとって何か変化はあるのですか?

A:

処分業者に大きく影響するのが、許可証有効期限の特例です。これまで許可証の有効期限は一律5年でしたが、許可に係る事業の実績や能力を勘案して延長されることになりました。延長されるかどうかの判断基準は、今後定められる省令等の内容によります。
これは優良性評価制度の認定を受けた処理業者に対するインセンティブが十分でないという問題への対策といえます。今回は処分業者へのインセンティブ付与にとどまりましたが、廃棄物処理制度専門委員会の報告書では「定期的な実地確認を義務付けることとなった場合には優良性認定業者に委託した排出事業者についてはその実地確認を免除すべきである」と、排出事業者へのインセンティブ付与にも言及しています。今から優良な処分業者を選択しておくことは決して無駄ではありません。

Q8.「廃棄物を輸入できる物の拡充」について詳しく教えてください。

海外でどうしても処理できない廃棄物を日本で処理したいとき、委託することはできますか?

A:

可能です。今回の改正により、廃棄物を自ら適正に処理する能力のある者だけでなく、能力がある者へ委託することができれば廃棄物の輸入が可能になりました。


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