カーボンニュートラルな廃棄物処理の実現へ
グリーンイノベーション基金の公募開始へ!
■背景
2020年10月、日本は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げました。これを受けて政府は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、その実行のために、脱炭素に向けた研究・開発を支援する2兆円の基金が創設されました。
(出典)グリーンイノベーション基金事業の今後の進め方について(経済産業省)
■概要
脱炭素に向けた2兆円基金の具体的な活用のため、経産省・産業構造審議会のグリーンイノベーション部会とその中のワーキンググループにおいてプロジェクトについて議論されています。
「次世代型太陽電池の開発」、「大規模水素サプライチェーンの構築」、「バイオものづくり技術によるCO2リサイクルの推進」などの先進的なテーマがプロジェクトとして認められ、研究開発がスタートしています。
グリーンイノベーション部会では、以下の3つのワーキンググループで検討が行われています。
- 【WG1】
- グリーン電力の普及促進等分野ワーキンググループ:風力発電、太陽電池、廃棄物・資源循環など
- 【WG2】
- エネルギー構造転換分野ワーキンググループ:CO2の回収や活用、水素やアンモニアの利用など
- 【WG3】
- 産業構造転換分野ワーキンググループ:モビリティ、デジタル、バイオ、熱プロセスなど
表:グリーンイノベーション基金プロジェクトの進捗状況)10/23時点)
(出典)グリーンイノベーション基金事業の取組状況等について(経済産業省)
その中で、廃棄物・資源循環分野では、「廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」として、次の3つのプロジェクトが挙げられています。
(出典)グリーンイノベーション基金事業の取組状況等について(経済産業省)
- CO2分離回収を前提とした廃棄物焼却処理技術の開発(①化学吸収法をベースとしたCN型廃棄物焼却施設・②酸素富化(燃焼)をベースとしたCN型廃棄物焼却施設)
- 高効率熱分解処理施設の大規模実証
- 高効率バイオメタン等転換技術の開発
廃棄物の焼却処理は、廃棄物の無害化等の観点からエッセンシャルな技術ですが、カーボンニュートラルを達成するためにはCO2排出量を抑制する必要があります。このため、国は脱炭素に向けた2兆円基金を活用し、廃棄物の焼却によって生じるCO2を直接回収したり、CO2発生を抑制しながら物質やエネルギーを回収したりする技術を研究開発、実証することで、カーボンニュートラルの達成を目指しており、廃棄物処理の上の3つのプロジェクトで、総額445億円の国費投入が見込まれています。
このグリーンイノベーション基金は、金額の大きさだけでなく、最大8年の長期間にわたって初期プロトタイプから大規模実証まで、ワーキンググループ等がモニタリングしながら、継続的に資金を提供されることが特徴です。
この分野のプロジェクトについてNEDOより、2023年10月10日から12月4日までの期間で公募が実施されています。詳しくは、NEDOのホームページをご確認ください。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
「グリーンイノベーション基金事業/廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」に係る公募について
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
西山 が担当しました