産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会 施策パッケージ
2022年12月13日、金融庁、経済産業省、環境省より、「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会 施策パッケージ」取りまとめについて、が発表されました。
「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会 施策パッケージ」取りまとめについて | 報道発表資料 | 環境省
※「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会 施策パッケージ」:
2022年8月より、金融庁、経済産業省、環境省による共催で開催された「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会」での議論内容を施策パッケージとして取りまとめられたもの。
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、日本だけで今後10年間で官民合わせて150兆円を超える投資が必要とされています。その一方で、GX分野に対する投資は様々なリスクが存在する不確実性が高い分野であるため、投資の促進のためにはリスクへの適切な対応が必要であり、具体的な政策の方向性が議論されていました。
以下に検討された施策をいくつかご紹介します。
■グリーン・ファイナンスの拡大
※グリーン・ファイナンス:気候変動対策や再エネ等の環境分野へ特化した資金を調達するための借入や債券
国内におけるグリーン・ファイナンスの組成は増加傾向にありますが、市場の裾野を拡大するための環境整備のために、グリーンボンド(債権)・ローン(借入)の発行補助対象を拡大することなどが検討されています。
■トランジション・ファイナンスの拡大
※トラジション・ファイナンス:環境負荷の高い事業活動を低い事業活動へ移行(トラジション)させるための資金を調達するための借入や債券
国内におけるトランジション・ファイナンスの活用も順調に推移してきていますが、実行性や信頼性をより一層確保するために分野別技術ロードマップを拡充(自動車分野の追加)など継続的な改善・更新が行われていく予定です。また、投資家等に対しては投資先企業のGHG排出量(ファイナンスド・エミッション)の削減のために多量排出産業へのトランジション・ファイナンスを回避しないよう、投資が評価される枠組みや、企業に対しては複数社での共同を後押しするような対応も検討していくこととされています。
■GX技術の社会実装に向けて
GX技術の社会実装における死の谷(リスクが存在することで民間資金が供給されず商用化等へ進まない状況)を回避するために、民間金融機関等が取り切れないリスクを公的機関が特定した上で、公的資金機関等の活用を通じた金融手法によるリスク補完の在り方(ブレンデッド・ファイナンス)も検討することとされています。
■GX実践企業の評価軸の構築
排出量だけがリスクとして評価され、排出削減に資する製品やサービスなどが機会として評価できてないことが一因となり、GX投資が必要な多排出企業ほど株式市場における評価が上がりにくい状況にあるとされています。そこで、企業が持つ日本企業の気候変動への貢献の機会面が適切に評価される仕組みを構築していくとともに、国際的な発信を場において、削減貢献量などの発信や議論の主導をしていくとされています。
さいごに
このような施策によって、企業等が気候変動対応のための資金を調達し易くなる一方で、今後、グリーン・ファイナンスの資金使途等に関する説明責任や改善効果(インパクト)の明確化、トランジション・ファイナンスについては投資家等との対話が求められる上、気候変動情報開示の促進に加え、サステナビリティ情報の充実が求められてきます。
詳しくは環境省ホームページをご確認ください。
「産業のGXに向けた資金供給の在り方に関する研究会 施策パッケージ」取りまとめについて | 報道発表資料 | 環境省
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
山野 が担当しました