プラスチック資源循環や海洋プラスチックごみ対策について
2019年5月31日に、環境省よりプラスチックに関連して以下の発表がありました。
「プラスチック資源循環戦略」の策定について
「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」の策定について
「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」の変更について
「戦略」「アクションプラン」「基本的な方針」となんとなく似ていますが何が違うのでしょうか。整理しました。
1. 最近の出来事
プラスチックに関連する海外・国内の最近の出来事を以下に並べます。
- 2018年1月16日
- EU「プラスチック戦略」採択
- 2018年6月9日
- G7シャルルボワ・サミット 「海洋プラスチック憲章」
英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国とEUが署名(日本とアメリカは署名せず) - 2018年6月15日
- 改正海岸漂着物処理推進法 成立
- 2018年6月19日
- 第4次循環型社会形成推進基本計画 閣議決定
- 2018年8月17日
- 中央環境審議会循環型社会部会「プラスチック資源循環戦略小委員会」
プラスチック資源循環戦略検討開始 - 2018年8月28日
- 海岸漂着物対策推進会議(第9回)
海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針改定について審議開始 - 2018年10月19日
- 「プラスチック・スマート」キャンペーン立ち上げ
- 2019年2月26日
- 海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係府省会議
海洋プラスチックごみ対策アクションプラン検討 - 2019年5月10日
- 第14回バーゼル条約締約国会議
汚れたプラスチックごみのバーゼル条約の規制対象への追加が採択され,廃プラスチックに関する国際ガイドラインに関して検討を行う専門家グループが設置されました。 - 2019年5月31日
- 「プラスチック資源循環戦略」策定
「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」策定
「海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」の変更
2. プラスチック資源循環戦略
循環型社会形成推進基本法に基づき、平成30年6月19日に閣議決定された、第4次循環型社会形成推進基本計画において「プラスチック資源循環戦略」を策定することが盛り込まれました。
平成30年7月13日に環境大臣から中央環境審議会に諮問され、中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環戦略小委員会において審議が行われ、平成31年3月26日に答申がなされました。
3. 海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針
海岸漂着物処理推進法に基づき、関係行政機関が海岸漂着物対策の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るための連絡調整を行うため、2009年から海岸漂着物対策推進会議と専門家会議にて審議がなされてきました。
2018年6月15日に改正「海岸漂着物処理推進法」が成立し、2018年8月より海岸漂着物対策推進会議と専門家会議にて、「海岸漂着物対策の推進のための基本的な方針」の変更について審議されてきました。
4. 「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」
海洋プラスチックごみによる汚染が、生態系、生活環境、漁業、観光など幅広い影響が懸念される地球規模の課題であることを踏まえ、日本が海洋プラスチックごみ対策を先導的に実施するべく、関係行政機関相互の緊密な連携・協力を確保し、総合的かつ実効的な推進を図るため、「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係府省会議」が開催され、「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議」にて、アクションプランが了承されました。
- 2019年2月26日
- 海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係府省会議
- 2019年5月31日
- 海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議
5. まとめ
1~4について、表にまとめました。
名称 | 基づく法令など | 審議会名 | 審議開始 | 関係省庁 |
---|---|---|---|---|
プラスチック資源循環戦略 | 第四次循環型社会形成推進基本計画 | 中央環境審議会循環型社会部会「プラスチック資源循環戦略小委員会」 | 平成30年 8月17日 |
環境省 消費者庁 外務省 財務省 文部科学省 厚生労働省 農林水産省 経済産業省 国土交通省 |
海岸漂着物対策の推進のための基本的な方針 | 海岸漂着物処理推進法 (美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律) |
「海岸漂着物対策推進会議」 |
平成30年 8月28日 |
環境省 農林水産省 経済産業省 国土交通省 |
「海岸漂着物対策専門家会議」 | 平成30年 9月7日 |
|||
海洋プラスチックごみ対策アクションプラン | ― | 「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係府省会議」 |
2019年 2月26日 |
環境省 内閣官房 内閣府 消費者庁 警察庁 総務省 外務省 財務省 文部科学省 農林水産省 水産庁 経済産業省 国土交通省 気象庁 海上保安庁 |
「海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議」 | 2019年 5月31日 |
6. さいごに
中国の廃プラ禁輸とともに、最近報道される機会が多い、海洋プラスチック問題。どうして、そんなに話題になっているのか?と思っておられる方は、まだ多い気もします。
海はつながっているというのは誰もが知っている事です。
海の生き物が餌と間違えて食べて胃の中がプラスチックでいっぱいになって死に至ったり、絡まって動けなくなって死に至ったりというような事例は以前から報道されていましたが、それがどれくらいの頻度で発生しているかはわかりませんでした。
海に大量のごみが流出して(捨てられて)いて、このままいくと、2050年には海の中にいる魚の重量よりも多くなるという調査報告(「The New Plastics Economy」エレンマッカーサー財団)もあり、海にはかなりの量のプラスチックが存在するという事が分かってきたことで、国際会議の場で大きく取り上げられるようになってきました。
日本からも海洋にプラスチックごみが流出しているとはいえ、街にごみが散乱している場面はそれほど遭遇しないこともあり、実感がわかないと思いますので、参考に国連広報センターのwebページと、世界循環経済フォーラム2018で講演されていた「plasticbank」のリンクを記載します。
国連広報センター(UNIC Tokyo)[2017年10月4日]
「プラスチックの海」
plasticbank
「WHAT’S HAPPENING」
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました