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海外進出・撤退時に注意すべき環境管理のポイント

企業のグローバル展開では、拠点の開設や撤退などを的確に実施していくことが求められます。環境側面への取り組みも含まれるこれらの事業展開には、今まで培われてきた企業のブランド力向上に資する点でも非常に重要な側面を持ちます。
ここでは企業が事業活動拠点の海外進出や海外からの撤退を検討される際、環境側面に対する取り組みのポイントを大きく2つに分けてお話しします。

1. 対象国の関連法令の順守 ~遵法状態の確認~

事業展開の対象となる海外各国・地域においても日本国内と同様に、排ガス、排水、化学物質、廃棄物、土壌・地下水汚染などから労働安全など、様々な環境側面に関する法律や地方条例などが定められています。
各企業は拠点の開設や撤退の際、関係するこれらの法令を遵守しなければなりませんが、実際にどのような法令が施行されているかを独自に調べるのは大変です。日本国内でさえも、環境側面の関係法令を条例まで辿っていくことは非常に大変なことで、そのような思いをされた方も多いのではないでしょうか。

さらに海外では、法令の条文を入手して内容を把握しても、管轄行政による実際の法令運用や判断基準が、私たちの想定と異なるケースもあります。これは、各国がそれぞれ抱える特殊な事情(地域性、民族、宗教など)が深くかかわっているためです。これらは法律より規制、条例へと階層が下がるほど複雑になってきます。

したがって、対象となる国や地方の法令施行状況の確認を必要とする場合、環境法令に明るいコンサルタントなどに相談することが有効な手段となります。
また、その際には対象国にネットワークを持っているコンサルタントであれば、法令の運用状況や操業開始後の関係法律の改正情報など、各国の特性を踏まえたより詳細な状況把握が可能となります。

2. 環境法令が脆弱な場合の対処 ~一歩進んだ環境管理~

事業拠点がある国や地方の法令が、一部の環境要素しか対象としていない場合、その対象国法規の遵法状況だけで操業活動の環境管理を行っているだけでは不十分な場合があります。

ご存じのとおり、環境関連の法令は、時間とともにその規制レベルが強化されていく傾向があります。事業拠点の進出時は遵法性の観点で特に問題なかったとしても、時間を経て新しい規制が適用された時点で、すでに自社敷地や周辺に対して環境影響を与えてしまっていることがあります。

環境側面の問題は、一度発生させてしまうと企業経営に与えるインパクトは、費用面はもとよりブランドイメージに対する悪影響など無視できないレベルに達してしまうことが多々あります。これらを未然防止することは、非常に重要なものとなってきています。
そのため世界各地に拠点を持つグローバル企業の多くが採用している管理手法として、企業独自の基準(ルール)を設けてそれに準じて環境管理を行っていくというものがあります。

企業独自の基準(ルール)を作るにあたっては、

  • 日本人にとってなじみやすい日本の法規をベースにするやり方
  • 米国、オランダなど環境先進国の法規をベースにするやり方
  • 拠点がある国の法規などをベースに基準の上乗せや項目の追加などを行うやり方

などがあります。

これらのルールを作成、運用する際には、対象とする基準レベルをどこに設定するかの検討はもちろん、その運営方法まで非常に多くのノウハウが求められます。この場合もこれらの実績を有している外部コンサルタントにアドバイスを受けながら進めていくことが有益です。

また、土壌・地下水環境についていえば、操業開始前の状況をあらかじめ調査しておき、データを持つことがたいへん重要です。たとえば、中国のように借地で操業後変換する場合や拠点の売却を行う場合、操業前のデータがあれば操業活動が土壌・地下水環境に与えた影響の有無や、汚染が確認された場合の操業活動との因果関係について明確に判断ができます。

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私どもの経験から申し上げると、上で述べた国や地域の状況に加え、土地の使用履歴など個々の条件によっても対応内容は変化します。その中で、環境面についても十分配慮をされることにより、管轄行政や周辺とも良好な関係を築いていただければと考えます。

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石津 この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
石津 が担当しました

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