中国土壌処理事情
近年中国は、年率10%を越える経済成長が続き、世界の工場と呼ばれるようになりました。
2010年には、GDPにおいて日本を抜き世界第二位となり、生産拠点としてだけではなく世界一の市場としても今後も成長が見込まれます。
また、豊かになった経済力を元に、農用地・工業用地を商用地・宅地への転用による、都市開発等も盛んに行われています。
一方、メディア等で取り立たされている通り、農地や工場跡地において多くの土壌・地下水汚染が報告されています。中国では、郊外に出れば道端に公然とゴミが捨てられている状況を目にします。ちょうど日本が、1960~70年代の高度経済成長期であった時の状況とよく似ています。この時日本では、さまざまな公害問題が発生し国民の健康被害が明らかとなった結果、それを契機として環境分野での法整備が進みました。
ゴミ回収ボックス前に散乱するゴミ(写真左) / 街中にある井戸(写真右)
中国においても、土壌関連の指標や法整備は1995年から始まりましたが、2001年のWTO加盟や近年の汚染問題の深刻化により、環境関連法規の整備を加速化させています。土壌においては、日本の土壌汚染対策法に相当する「汚染場地土壌環境管理暫時弁法」が、2015年に施行される予定(中国環境保護部)です。
中国における特徴は、土地が「国有」であることであり、進出した企業は最大50年の借地権を購入し操業することになります。そのため、企業は最終的に借地権を国に返還しなければなりません。法整備に伴い土壌・地下水対策が強化されれば、中国では次の様な契機において、今まで以上に土壌・地下水汚染に対する認識や対応が重要になると考えられます。
- 中国への新規進出
- 既に進出中の企業における、定常的な汚染防止管理
- 経済成長に伴う賃金の高騰により、中国内陸部や他国への生産拠点シフト
しかしながら、これまでの法整備状況からも分かるように、中国では汚染土壌・地下水対策において、十分に経験がある会社は非常に限られております。汚染の調査や対策工事は、適切に管理された状況の下で行われないと、二次的な汚染を引き起こす可能性が高く、問題をより大きく深刻化させるリスクが高まります。そのことを踏まえ、適切に管理の出来る業者を選択することが非常に重要になります。土壌・地下水の調査や対策を依頼するに際には、以下のポイントにご留意する必要があります。
- 遵法的に対策を行えるか
- 浄化技術、浄化実績はあるか
- 中国国内や国際的な法整備状況を的確に把握しているか
- 現地での対応のみならず、日本本社の意向も踏まえ対策を提案・実施できるか
- 周辺環境にも配慮した対策を行えるか
DOWAエコシステムは、2003年に日系企業ではじめて中国の蘇州で金属リサイクル事業を開始しました。 土壌事業では、これまでも中国で日本品質の土壌・地下水環境サービスを提供してまいりましたが、「蘇州同和環保工程有限公司」の設立により、今まで以上にスピーディーで、よりきめ細やかなサービスを提供いたします。
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次回はタイについてのレポートをお届けする予定です。