インドネシア事情 −その4
DOWAエコシステムは2009年2月、東南アジアの廃棄物処理会社であるModern Asia Environmental Holdings, Inc.(以下 MAEH社)の発行済株式を100%取得し、アジアでの環境リサイクル事業の拡大を図っています。
MAEH社は、東南アジア3カ国(タイ、インドネシア、シンガポール)で廃棄物処理事業を展開しています。インドネシアでは、最終処理施設や廃油・廃液処理施設などを保有し、廃棄物処理事業、燃料再生事業、土壌・施設浄化事業などを行っています。
前回から期間があいてしまいましたが、今回のレポートは、インドネシアレポートの最終回。インドネシアの「土壌調査と浄化」についてお届けします。
土壌調査・浄化について
- Q.インドネシアは資源に恵まれているとのことですが、石油や鉱物資源が多いということは、土壌汚染に対する人々の意識も高いのでしょうか?
- A.日本も近代の歴史の中で経験してきましたが、資源開発には環境への配慮、公害防止の観点は欠かせません。これは政府も認識している部分だと思います。土壌に関して言えば、2009年7月現在、いわゆる汚染土壌に関する法律や規制はありませんが、産油区域におけるボーリングの掘削汚泥について、Total Petroleum Hydrocarbons (TPHs)が1%以下であること、という規制があります。
ただし、これらは産油地帯や鉱山地帯の話で、一般の人々の居住区から遠隔地にあるケースが多いのが実情です。いわゆる日本の土壌汚染問題のような、一般住民の生活や健康影響に対する意識は、まだ高まっていないのが実情です。 - Q.石油以外の工場等に対する土壌汚染対策の規制・法令はないのですか?
- A.日本での主な汚染対象とされる生産工場に視点を移してみますと、インドネシアには適用法令、規制、または日本の環境基準に相当する土壌・地下水の基準がありません。ただこうした場合でも、情報のオープン化、インドネシア環境省への報告や相談など、基準や規制のない中でのリスクコミュニケーション能力が求められることになります。
- Q.今後法整備されていくような気配等はないのでしょうか。
- A.今後整備されていくとなると、企業進出の際には重要なポイントとなると思いますが?
土壌の法整備化に関して言えば、正直なところ分からないというのが実情です。少なくともここ直近の話としてそう言った話題が挙がることはありません。
インドネシアにおいて重要なのは、法整備に関する情報窓口を持つということの他に、企業の中で進出や撤退のトピックが挙がったときに土壌に関する計画を盛り込んでおくことです。
こういった意味においても、今回DOWAがPPLi社を含むMAEHグループを買収した意味は大きく、インドネシアにおいてPPLi社の日本人チームが果たすべき重要な役割の一つと捉えています。 - Q.今後の目標を教えてください。
- A.PPLi社では、DOWAが買収する以前に、既に複数件の土壌調査および土壌の最終処理を経験しています。
PPLi社として大事なのは、私たちは「世界基準を満たした最終処分場を有し、顧客サイドから廃棄物の輸送、処理から最終処理まで一貫して実施できる唯一の企業」であるという自覚です。顧客から土壌に関する相談があっても、その適正処理について的確に返答する義務が私たちにはあります。この中には、いわゆるコンサルテーション業務も当然ながら含まれます。こうした積み重ねによって、トータルマネジメントができる廃棄物処理業者としての立場を確固たるものにしていく。そして顧客からより一層信頼される業者に成長する。これが、インドネシアで環境事業を営む私たちの当面の目標になるのだと思います。
お読みいただきありがとうございます。
今回で、インドネシアレポートは終了です。