オーストリア・チロル州のゴミ処理事情
オーストリアの首都・ウィーンから電車で6時間、ドイツとの国境まで車で15分。オーストリア・チロル州にある、人口6000人の小さな村、Reutte(ロイテ)。因みに岩手県奥州市と姉妹都市関係にあります。
今回はそんなヨーロッパの田舎のゴミ処理事情についてお伝えしていきます。
家庭での分別が鉄則
家庭で出るゴミは、分類して集めておきます。
生ゴミ・その他リサイクルできない家庭のゴミは、有料でゴミ収集車に回収してもらいます。
プラスチック・缶・瓶・新聞や紙類・段ボール・スチロール・その他、古くなった服や靴等のリサイクル可能なゴミは、詳しくは後述しますが、リサイクルセンターに無料で持ち込みます。
家庭ゴミの回収頻度
この村では、生ゴミは1週間に1度回収されます。その他家庭のゴミは、隔週です。隣の村は、生ゴミも隔週で回収されます。ここは緯度が北海道並みに高く、冬こそマイナス20℃位にもなりますが、夏場の暑い時は、この2週間が長く感じられます。
1家庭につき1個、このようなゴミバケツが屋外に置いてあります。もし、生ゴミとその他の家庭ゴミを厳密に分ける場合、ゴミが回収される日に、どのゴミかを間違いなく分けて出さなければなりません。そんなに細かく分けていられない!という場合は、一緒に出してOKです。
左側の緑で書かれているものは、オーガニック(有機)のゴミ野菜くずなど、いわゆる生ゴミを捨てられる日です。右側のオレンジで書かれているものは、その他家庭のゴミが回収される日です。真ん中の黒い文字は何月かを表しています。例えば、一番上の1月を見ますと、生ゴミが回収されるのは、2日、9日、16日、23日、30日です。その他家庭のゴミは、地域(地区)によって異なりますが、ここは3日、17日、31日です。
我が家はキッチン内にそんなに細かくゴミ袋を分けて置けるスペースがないので、生ゴミも、その他リサイクルできない家庭のゴミも一緒にオレンジの日に合わせて出しています。
この地域のゴミ回収は早朝に行われます。大体いつも6:30位です。
ゴミがトラックに回収される際には、きちんと計量されています。重さによって金額が決められ、3か月に1回、役所からQRコード付きの請求書が来るので、オンラインで支払います。因みに我が家は1か月あたり、大体12ユーロ(約1800円)位です。※ゴミの価格は1キロにつき0.26ユーロ(約40円)なので、1か月あたり約46キロのゴミを出していることになります。我が家には猫がいるので、猫の砂が結構な重さを占めていると思います。
リサイクルセンターに各自で持って行く
各村に1か所設けられているリサイクルセンターでは、分別したものを投下できるコンテナがあります。上記に記載したゴミの中で、生ゴミや家庭のゴミ以外はこちらに持って行けて、家庭のゴミバケツからの回収とは違って無料ですので、いくらかたまったら捨てに行きます。
いざ、ゴミを乗せて出発。
車を停車させ、コンテナまで各自で持って行くシステムです。
月曜・日曜以外は開いているので、各家庭のペースで持って行けます。尚、村によっては、人口の大小によって異なると考えられますが、土曜日の午前中だけという場所もあります。
●プラスチック
家庭で出るプラスチックを、市販の大き目なビニール袋に入れて集めておきます。綺麗に洗う・洗わない等ルールは決められていません。そのビニール袋ごと投入できます。村によっては、そのビニール袋から出して捨てなければいけない場所もあるので、注意が必要です。
私の様な小さい人でも投入できるように、踏み台が用意されています。
●瓶は色で分別
瓶は、色によって投入するコンテナが異なります。色がついているか、白か、ガラス製品か等を確認して、それぞれのコンテナに投入します。ぼんやりしてうっかり違うコンテナに投入してはいけません。
(写真上)これは白い瓶のみ。ガラス食器や、瓶の蓋は投入できません。細かいし、厳しいです。
(写真下)決められた通り、白い瓶だけが入っています。
●缶・アルミ類
●新聞等の紙類と段ボールも分別
紙類もここでいっきにまとめて捨てられます。
写真左:新聞紙や紙類。
写真中:ボール紙類。紙は投入不可です。
写真右:その他、小さい機械類・電子機器類も持って来ることが出来きます。
●オムツのゴミ処理は、自治体が負担
オムツ入れ
赤ちゃんや小さい子供がいる家庭にはとてもありがたいサービスです。オムツを入れる袋は、大型のゴミ袋が1枚当たり約80円ですが、重たいオムツのゴミを家庭で出さなくて済むので助かります。
子育て経験のある方はご存知と思いますが、オムツのゴミは本当に重たいです。家庭でゴミとして出すと、重たい分、かなり料金が加算されるはずですが、ここまで持ってくれば無料となります。ただし、車に積んでここまで運ばないといけないので、車内に防臭スプレーを搭載されることをお勧めします。
●服のリサイクルもここで出来る
古着や靴は、ここに持ってくると、無料で回収してもらえます。中古品を扱うお店のマークがあるので、そのお店が自社の店舗に回すなり、処理しているものと考えられます。違う村では、カリタス(国際非政府組織)に寄付しているようです。
靴はペアにして、袋に入れて投入します。右下に書かれてある「issba」は中古品店の名前です。
犬のフンが捨てられる専用のゴミ箱(ビニール袋の支給付き)
これは犬を飼っている人にはありがたいサービスです。小さなゴミ袋も支給されているので、散歩の途中にゴミ袋を取れるし、フンを持ち帰らずに済みます。
また、村が綺麗に保たれている理由として、公園や公道にゴミ箱が設置されてあります。そして人々がきちんとゴミ箱にゴミを入れていると思われますし、それに村職員の方が掃除しているのも見かけます。村全体は綺麗な印象です。
写真左:公園にある小さなゴミ箱。 写真右:街の中にある吸い殻入れ付きのゴミ箱。
各家庭で徹底的に分別されているのに対し、街や公園では何もかも一緒くたに捨てられています。
まとめ
このように、ゴミは各家庭では徹底して分別されており、ゴミ収集車が隔週で回収し、リサイクルできるゴミについては各自でリサイクルセンターに持参します。オムツのゴミは自治体がサポートしているし、犬を飼っている家庭にも優しい環境です。サポート体制が整っているので、綺麗に保とうというモチベーションも上がるという、良い循環が村に広まっています。
この記事は
オーストリア・チロル州在住のフリーライター
Yuko が担当しました