使用済太陽光パネルのリサイクル制度創設に向けた審議報告
(その3)~「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」を大臣に意見具申~
環境省の「太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」と経済産業省の「太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ」の最終となる合同会議(第9回)が3月21日に開催されました。
今回の合同会議では、パブリックコメントの結果とその後の法制的検討を踏まえて修正された「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」が審議されました。今回、その内容をレビューします。
中央環境審議会循環型社会部会太陽光発電設備リサイクル制度小委員会・産業構造審議会イノベーション・環境分科会資源循環経済小委員会太陽光発電設備リサイクルワーキンググループ 合同会議(第9回)
■「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について(案)」の主な変更内容
- 再資源化義務の対象が「太陽光発電設備」から「太陽光パネル」に変更
- 再資源化費用の交付先が、「設備所有者」から「再資源化事業者」に変更
- 情報は「第三者機関が一元的に管理」するとしていたところ、「国と第三者機関が管理」することに変更
- 語句の変更(主要な部分)
変更前 ⇒ 変更後 設備所有者 ⇒ 所有者 (太陽光発電設備の)解体・撤去 ⇒ (太陽光パネルの)取り外し 解体等費用 ⇒ 取り外し等費用
■主な変更点①:再資源化義務対象の変更について
再資源化義務の対象が「太陽光発電設備」から「太陽光パネル」に変更されたことにより、太陽光パネルの所有者が負担する費用(新たな制度に基づくもの)は、発電設備の解体等費用からパネルの取り外し等費用に限定されることになります。
この変更に対して、委員からは、太陽光パネルだけでなく発電設備全体の解体撤去に規制をかけることが重要で、パネル以外のものが放置・不法投棄されることのないよう対策を求める意見等がだされました。
これに対し、環境省・経済産業省からは、廃棄物処理法、建設リサイクル法、電気事業法など関連法制度も組み合わせて総合的に対策を行い、放置・不法投棄を防止するとした上で、こうした措置で不十分が明らかとなった際は追加措置も検討することが示されました。
■主な変更点②:再資源化費用の交付先の変更について
廃棄太陽光パネルの再資源化費用については、当初、再資源化を実施したことを証明できる書類等の提出を条件として、第三者機関が製造業者・輸入販売業者から徴収した費用から設備所有者等に一定額を交付するとしていたところ、今回の変更により、再資源化事業者が直接、一定額の交付を受けることになります。
この変更に対して、委員からは、費用の流れが明確かつ合理的となった一方で、再資源化費用の低減にむけたインセンティブが働きにくくなる懸念が示されました。
これに対し、環境省・経済産業省からは、今後の細則検討の中で例えば環境配慮設計の有無や程度を再資源化費用の算定の際に考慮することや、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」(高度化法)によって一定程度効率的な再資源化が見込まれる状況を作ることで再資源化に伴う社会的費用の低減を図りたいとする考えが示されました。

(出典)第9回審議会資料より
■主な変更点③:情報管理者の変更について
これまで第三者機関が一元的に情報管理を行うとしていたところ、今回の変更により、情報管理は国と第三者機関が行うこととなりました。
この変更に対し、委員からは、国が関与することで情報の収集と管理が前進するといった好意的な意見や、情報の使い方として適正処理や規制面だけでなく、欧州で実装化が予定されているデジタルプロダクトパスポート(DPP;製品の持続可能性に関する情報を電子的に記録したもの)にも将来的に対応できるよう求める意見などが出されました。
■今後の予定
第9回合同会議では、全体を通して委員から大きな異論は出ず、報告書のとりまとめは委員長に一任されました。そして、3月28日には、主務大臣への意見具申が行われました。今後、法案が策定される見込みです。
環境省・経済産業省は、今後も引き続き有識者や業界関係者等から意見を聴取しつつ、法制的な観点から詳細な制度設計を進めていくとしています。
○環境省:中央環境審議会意見具申「太陽光発電設備のリサイクル制度のあり方について」について
この記事は
エコシステムジャパン株式会社
狩野 が担当しました