改正省エネ法の報告義務について
「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」は、一定規模以上(原油換算で年間1,500kl以上使用する)の事業者等が、エネルギーの使用状況等について定期的に報告し、省エネ取組の見直しや計画の策定等を行うことを規定した法律です。
1. 改正の背景
2050年カーボンニュートラル目標や2030年の野心的な温室効果ガス削減目標の達成に向けて、徹底した省エネに努めるだけでなく、非化石エネルギーの導入拡大を進める必要があるため、2022年に「エネルギーの使 用の合理化に関する法律」から、「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」へ改正され、2023年に施行されました。
2. 改正のポイント
改正された省エネ法では、「エネルギー」の定義を拡大し、非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの使用の合理化を求める枠組みに見直されました。そして以下のような措置が講じられています。
- エネルギーの使用の合理化
非化石エネルギーを含むすべてのエネルギーの合理化が求められます。これに伴い、非化石エネルギーが報告対象に加わりました。 - 非化石エネルギーへの転換
特定事業者は、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期計画の作成及び非化石エネル ギーの使用状況等の定期報告を行うことなどが求められます。 - 電気の需要の最適化
特定事業者等は、再エネ出力制御時への電力の需要シフトや、電力の需給ひっ迫時の電力の需要減少を促すため、電力の需給状況に応じた使用電力の抑制や増加の実績報告を行うことが求められます。
令和5年(2023年)度提出分から新しい様式に基づいて中長期計画書を提出することとなっていました。令和6年(2024年)度提出分は、中長期計画書に加え、定期報告書についても、新しい様式で提出することとなります。
3. 規制対象者
工場・事業場の設置者と貨物/旅客輸送事業者、荷主が対象とされています。
努力義務と報告義務、それぞれの対象者は以下の図をご確認ください。
(出展)改正省エネ法に基づく措置等について(資源エネルギー庁 省エネルギー課 令和5年2月)
4. 報告方法
報告の届出はEEGS(webサイト)から行います。
(出展)省エネ法がかわります(経済産業省資源エネルギー庁)
5. 各対象の報告義務
具体的な規制の対象者や報告義務の内容などは、それぞれ以下のパンフレットをご覧ください。
以下に、各対象の報告義務について手引きを元にご紹介します。
5-1 事業者の報告義務
事業者の義務は、年間エネルギー使用量に応じて定められています。
(出展)省エネ法の手引き(工場・事業場編)~令和5年度改訂版~
5-2 貨物/旅客輸送事業者の報告義務
貨物/旅客輸送事業者については、輸送能力が規定の数値以上の事業者が、特定輸送事業者として指定され、報告義務の対象となります。
(出展)エネルギー使用の合理化等に関する法律 省エネ法の概要 【輸送に係る措置】
(国土交通省 総合政策局 環境政策課 令和2年3月)
5-3 荷主の報告義務
荷主については、輸送料が3,000万トンキロ以上の場合、「特定荷主」と指定され、報告義務の対象となります。
【参考資料】
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネ法がかわります
改正省エネ法に基づく措置等について(令和5年2月)
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました