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二酸化炭素貯留(CCS)の本格実施に向けて新法が閣議決定

2050年カーボンニュートラルに向けて、必要不可欠な技術の1つとされているCCS(二酸化炭素回収・貯留:Carbon dioxide Capture and Storage)の本格実施に向けて、「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が、2024年2月13日に閣議決定されました。

CCS(二酸化炭素回収・貯留:Carbon dioxide Capture and Storage)とは
発電所や化学工場などから排出されたCO2がそのまま大気中に放出されないよう、ほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入するというものです。さらに、分離・貯留したCO2を利用しようというCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)というものもあります。

参考:エネルギーの基礎用語~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

CCSのイメージ(出典)今後の海底下への二酸化炭素回収・貯留に係る海洋環境の保全の在り方について
(海底下CCS 制度専門委員会報告案)2024年1月19日」より)

この新法は、CCSを実施するために必要な許認可制度を整備するものです。ここではその背景と概要を説明します。

二酸化炭素を海底下の地中に貯留する場合については、従前から国際的に、廃棄物等の海洋投棄等による海洋汚染の防止を目的とした「ロンドン議定書」(1996年)で認められており、実施のためのガイドライン等が定められています。2009年には議定書の改正により、貯留を目的とした二酸化炭素の輸出入も認められるようになりました。

これを受けて日本では、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染等防止法)の中で、環境大臣の許可を受けて二酸化炭素を海底下に貯留できる制度が設けられました。これまでに、国による大規模実証試験として、北海道苫小牧沖での貯留事業がこの許可の下で2016年より実施されています。

今回の新法は、海底下に限定せず、民間事業者がスムーズに貯留事業を実施できるスキームを整えるもので、法の構成は鉱業法と似たようなものになっています。貯留事業の流れは以下のようになります。

  • 国が貯留に適した特定区域を指定し、事業者に「試掘権」「貯留権」を与える。
  • 事業者は「実施計画」を提出して認可を受け、貯留事業を実施する。その際、注入停止後のモニタリングに必要な資金として引当金を積み立てる。
  • 貯留した二酸化炭素の安定などの条件を満たした後に、モニタリングをJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)に移管する。
  • 二酸化炭素の導管輸送事業についても規定する。

これに伴い、従来の海洋汚染防止法に基づく許可は、この新法に一本化されることになります。

(参考)二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(CCS事業法案)の概要

今後、2026年には事業者を決定し、2030年に貯留を開始するスケジュールが見込まれています。

ニュースリリース(2024年2月13日)
経済産業省 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案」及び「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が閣議決定されました
環境省 「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」の閣議決定について

参考資料

経済産業省ホームページ
カーボンマネジメント小委員会

環境省ホームページ
海底下CCS制度専門委員会


西山 この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
西山 が担当しました

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