フロン排出抑制法が強化されます
2019年に改正されたフロン排出抑制法が、2020年4月1日から施行されます。
改正のポイントと改正の背景について解説します。
1. 背景
フロン類は強力な温室効果ガスですが、回収率が低迷しています。
ビル用パッケージエアコン1台に含まれるフロン(約20kg)は、レジ袋約150万枚分、乗用車で日本を40周分した際に排出するCO2に相当します。
出所:機器管理者の皆様へ(業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器を廃棄する際の規制が強化されます)
フロン類の回収を強化するため、回収したフロンの引き渡しや、使用時の点検が義務付けられてきました。
出所:改正フロン排出抑制法に関する説明会資料 (令和元年度版)「機器ユーザー向け 説明会資料」
それでも、フロン類の回収率は36~39%で推移しています。
出所:改正フロン排出抑制法に関する説明会資料 (令和元年度版)「機器ユーザー向け 説明会資料」
経産省と環境省が共同で、2018年にフロンの回収率が低迷している原因について調査を行った結果、機器廃棄時にフロン回収作業が行われておらず、特に、建物解体に伴う機器廃棄においてフロン回収作業が行われなかった場合が多い事が分かりました。
出所:改正フロン排出抑制法に関する説明会資料 (令和元年度版)「機器ユーザー向け 説明会資料」
廃棄物・リサイクル業者が廃棄された機器を引き取る際に、フロン回収されているか確認する仕組みがなく、フロンが放出されている事もわかりました。
2. 改正のポイント
<管理者>
- 業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器を廃棄する際に、フロン類を回収しないと、刑事罰の対象となります。
- フロン類の回収が証明できない機器は、引き取ってもらえません。
<廃棄物・リサイクル業者>(第1種特定製品引取等実施者)
- 機器の引き取り時に、フロン回収済証明のない機器の引き取りが禁止されました。(刑事罰の対象となります)
<解体業者>(特定解体工事元受け業者)
- 機器の有無の確認の保存が義務付けられました。
出所:改正フロン排出抑制法に関する説明会資料 (令和元年度版)「機器ユーザー向け 説明会資料」
3. 対象となる機器
業務用のエアコン、冷凍冷蔵機器のうち、フロンが使われている、第1種特定製品が対象となります。
出所:機器管理者の皆様へ(業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器を廃棄する際の規制が強化されます)
家庭で業務用の機器を使用している場合には対象になりますし、会社で家庭用のエアコンを使用している場合には、対象になりません。
4. 管理者とは
原則として、製品の所有者が管理者となります。
ただし、例外として、契約書などの書面で、保守・修繕の責務を所有者以外が負う事とされているリース契約等の場合は、その者が管理者となります。
出所:改正フロン排出抑制法に関する説明会資料 (令和元年度版)「機器ユーザー向け 説明会資料」
5. 法に基づく義務
出所:「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」パンフレット(2019年11月版)
<第1種特定製品の管理者>
<第1種特定製品の廃棄実施者>
出所:「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」パンフレット(2019年11月版)
<廃棄物・リサイクル業者>
出所:「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」パンフレット(2019年11月版)
出所:「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」パンフレット(2019年11月版)
6. 施行期日
2020年4月1日
詳しくは、「フロン排出抑制法ポータルサイト」をご確認ください。
この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
上田 が担当しました