低濃度PCB汚染物の入り口基準に関する通知が出されました
2019年3月28日に環境省 環境再生・資源循環局廃棄物規制課長より出された、「低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について(通知)」の概略について解説します。
1. 背景
廃電気機器に関するPCB汚染物の該当性判断については、これまでも「重電機器等から微量のPCBが検出された事案について」(環廃産発第040217005号)に基づき判断が行われてきました。
しかし、塗膜くずや感圧紙をはじめとした多種多様な低濃度PCB汚染物に関しては、例えば同一の低濃度PCB汚染物であっても、その該当性については自治体によって判断が分かれてしまうというケースもありました。
2. 通知によって何が変わるのか
通知では、低濃度PCB汚染物の該当性判断基準(いわゆる入り口基準)が示されました。
リスクの考え方が、基礎となっている処理物の判断基準(いわゆる卒業基準)と、原則として同じ数値が、該当性の判断基準とされています。
対象 | 形態 | 卒業基準 | PCB汚染物ではないことの判断基準 | 分析方法 |
---|---|---|---|---|
廃油 | 当該廃油に含まれるもの | 0.5mg/㎏以下 | 同左 | ・告示第192号(注2)別表第二 ・告示第192号別表第三の第一 ・簡易測定法マニュアル(注3) |
廃酸、 廃アルカリ | 当該廃酸、廃アルカリに含まれるもの | 0.03mg/L以下 | 同左 | ・環境庁告示第13号(注4) |
廃プラ | 付着し、又は封入されたもの | 0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと | 同左 | ・告示第192号別表第三の第二 ・告示第192号別表第三の第三 |
含有濃度0.5mg/kg以下 (注1) | ・低濃度PCB含有廃棄物測定方法(注5)を準用 | |||
金属くず | 付着し、又は封入されたもの | 0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと | 同左 | ・告示第192号別表第三の第二 ・告示第192号別表第三の第三 |
陶磁器くず | 付着したもの | 0.5mg/㎏超のPCBが含まれた油が付着していないこと | 同左 | ・告示第192号別表第三の第二 ・告示第192号別表第三の第三 |
紙くず | 塗布され、又は染み込んだもの | 検液中の濃度が0.003mg/L以下 | 同左 | ・告示第192号別表第四 |
含有濃度0.5mg/kg以下 (注1) | ・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用 | |||
木くず、 繊維くず | 染み込んだもの | 検液中の濃度が0.003mg/L以下 | 同左 | ・告示第192号別表第四 |
含有濃度0.5mg/kg以下 (注1) | ・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用 | |||
コンクリートくず | 付着したもの | 検液中の濃度が0.003mg/L以下 | 同左 | ・環境庁告示第13号 |
汚泥 | 染み込んだもの | 検液中の濃度が0.003mg/L以下 | 同左 | ・環境庁告示第13号 |
含有濃度0.5mg/kg以下 (注1) | ・低濃度PCB含有廃棄物測定方法を準用 | |||
その他 | 検液中の濃度が0.003mg/L以下 | 同左 | ・環境庁告示第13号 |
例外的に、
塗膜くずや少量の低濃度PCB汚染油が染み込んだもの(紙くず、木くず、繊維くず等)で、PCBを含む油が自由液(※)として明らかに存在していない場合で、PCBの含有濃度が0.5mg/kg以下の場合には、
低濃度PCB汚染物に該当しない。
と判断することとされています。
(※)自由液:PCBを含む油が染み込んだり付着した廃棄物から、PCBを含む油が染み出したり脱離して、液体状態として確認できるもの
3. 今後も判断が変わらないこと
今後も以下の1.と2.については判断基準と運用は変わりません。
- 「重電機器等からの微量のPCBが検出された事案について」(環廃産発第040217005号)において、低濃度PCB廃棄物の該当性判断基準が示されている廃重電機器
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第2条の4第5号ル(9)において定められている特定の工場又は事業場で排出される汚泥、廃酸又は廃アルカリ
詳しくは、環境省ホームページをご確認ください。
低濃度ポリ塩化ビフェニル汚染物の該当性判断基準について(通知)[2019年3月28日]
この記事は
エコシステムジャパン株式会社 営業企画部
堀岡 が担当しました