平成29年度 廃棄物処理法改正のポイント その1
平成29年3月10日、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定され、第193回国会に提出されました。衆議院・参議院での審議の結果、この法案は、同年6月16日に公布されました。
【参照ホームページ】
環境省ホームページ
平成29年3月10日 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について」
平成30年1月26日 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令」等の閣議決定について
1. どんな改正が行われるの?
今回の廃棄物処理法改正の主なポイントです。
(1)廃棄物の不適正処理への対応の強化
平成28年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事件に端を発する改正です。
- 市町村長、都道府県知事等は、廃棄物処理業の許可を取り消された者等が廃棄物の処理を終了していない場合に、これらの者に対して必要な措置を講ずることを命ずることができる。また、当該事業者から排出事業者に対する通知を義務付ける。
- 特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、紙マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付に代えて、電子マニフェストの使用を義務付ける。また、マニフェストの虚偽記載等に関する罰則を強化する。
(2)有害使用済機器の適正保管等の義務付け
鉛等の有害物質を含む電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)が、環境保全措置が不十分のまま破砕や保管されることにより、生活環境保全上の支障が発生していることによる改正です。
有害な特性を有する使用済みの機器(有害使用済機器)について、
- これらの物品の保管又は処分を業として行う者に対する、都道府県知事への届出、処理基準の遵守等の義務付け
- 処理基準違反があった場合等における命令等の措置の追加
(3)親子会社間における自ら処理の拡大
- 一定の要件に適合する旨の都道府県知事の認定を受けた場合には、廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に親子会社間で産業廃棄物の処理を行うことができることとする。
また、今回の法改正に合わせて、政省令(施行令や施行規則)が改正され、関連する通知が出されることが予想されます。
2. いつ改正されるの?
今回の法改正の施行期日に関しては、以下のように規定されています。
- マニフェスト制度の強化以外の改正
→公布日(6/16)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
(追記)施行期日は平成30年4月1日となりました。 - マニフェスト制度の強化
→公布日(6/16)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日
(追記)電子マニフェストの一部義務化関係の施行期日は平成32年4月1日となりました。
3. 改正の背景や考え方は?
今回の法改正に先立って、中央環境審議会循環型社会部会 廃棄物処理制度専門委員会において、廃棄物処理法の施行状況及び廃棄物処理政策に係る議論が行われました。
委員会における議論は、パブリックコメント実施の上、本年2月3日に「廃棄物処理制度専門委員会報告書」としてまとめられました。そして、循環型社会部会での審議を経て、平成29年2月14日に中央環境審議会から環境大臣に「廃棄物処理法の見直しの方向性」として意見具申されました。この報告書には今回の法改正の背景や考え方が示されています。
なお、この報告書に示されている、今回の法改正関連以外の内容も、今後、政省令や通知に反映される可能性がありますので、注意が必要です。
4. 改正の内容は?
来月よりシリーズ(全3回予定)で、今回の法改正の内容をご紹介します。
各種報告書の内容を参照して、法改正の内容に加えて、その背景や考え方もご紹介していきたいと思います。
【参考資料】
環境省ホームページ
廃棄物処理制度専門委員会報告書
この記事は
メルテック株式会社
大原 が担当しました