水質汚濁防止法 改正 ~最近の動き その2~
1. 最近の動き
昨年から今年にかけて水質汚濁防止法の改正に伴い、様々な検討がなされ・情報が発表されています。法律の改正は、毎回「水質汚濁防止法の一部を改正する法律」と言われるため、混乱しやすく、なじみにくくなっているのではないかと思います。
そこで今回は、本年度の水質汚濁防止法の動向について確認し、最新の動向まとめます。
まずは、最近の流れをおさらいしましょう。
1-1. 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成22年法律第31号)
変更部分 (水濁法関連を抜粋) |
①排出水等の測定結果の改ざん等(虚偽の記録、又は記録の未保存)に対する罰則の創設 |
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②事故時の措置の対象を追加 | |
③事業者の責務規定の創設 | |
①②平成23年4月1日施行、③平成22年8月10日施行 |
この改正により、水質汚濁事故時の措置について強化されました。
<参考>
- エコジャーナル
平成23年6月号 法規条例 水質汚濁防止法改正(事故時の措置)
http://www dowa-ecoj.jp/houki/2011/20110601.html - 環境省HP
大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=12205
大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令及び水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令の閣議決定について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13589
1-2. 水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成23年法律第71号)
変更部分 | ①有害物質を貯蔵する施設の設置者等についての届出規定の創設 |
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②基準遵守義務の創設 | |
③基準遵守義務違反時の改善命令の創設 1) 届出計画が不適合時の変更命令等 2) 設置設備の構造基準不適合時の改善命令 |
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④定期点検義務の創設 | |
平成23年6月22日公布(公布後、1年を超えない範囲で施行) なお、既存施設については、②と③の適用は、施行後3年間猶予する。 |
この改正により、地下水汚染の未然防止に関する規定・基準が創設されました。
<参考>
- エコジャーナル
平成23年5月号 法規条例 水濁法改正のポイント ~地下水汚染未然防止~
dowa-ecoj.jp/houki/2011/20110501_02.html - 環境省HP
水質汚濁防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13573
2. 地下水汚染の未然防止に関する動向
水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成23年法律第71号)を、便宜上「未然防止に関する改正法」と呼ぶことにします。
この改正のポイントは3点です。
- ① 有害物質を貯蔵する施設の設置者についての届出規定の創設
- ② 基準遵守義務の創設、基準遵守義務違反時の改善命令の創設
- ③ 定期点検義務の創設
2-2. 有害物質を貯蔵する施設
このうち、①「有害物質を貯蔵する施設」については、中央環境審議会水環境部会地下水汚染未然防止小委員会にて答申案がまとめられ、平成23年8月9日~9月7日の間、パブリックコメントが行なわれました。
パブリックコメントの対象となった答申案では、「有害物質貯蔵指定施設」について「水濁法施行令第2条に定める有害物質を貯蔵する施設であり、当該施設から当該物質を含む水が地下に浸透するおそれがある施設」とすることが適当であると結論付けられています。
<参考>
- 環境省HP:水質汚濁防止法に基づく有害物質貯蔵指定施設の対象となる施設について(第1次答申案)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14116
2-3. 基準・定期点検
②の遵守すべき基準、③の定期点検については、「環境省の地下水汚染未然防止のための構造と点検・管理に関する検討会」にて検討されています。平成23年6月28日に第1回検討会が開催され、平成23年9月13日には第5回検討会が開催されました。第5回検討会では、以下について検討されました。
- 地下水汚染の未然防止のための措置(案)
- 地下水汚染未然防止のための構造と点検・管理に関する指針・マニュアル(素案)
<参考>
- 環境省HP:地下水汚染未然防止のための構造と点検・管理に関する検討会
http://www.env.go.jp/water/chikasui/conf/mizen_boushi.html
これらも、中央環境審議会 水環境部会 地下水汚染未然防止小委員会で審議され、パブリックコメントを経て規定されていく事となります。
DOWAエコジャーナルでは今後も、水質汚濁防止法の改正に関する情報をお伝えしていきます。
この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ
鈴木 が担当しました