DOWAエコジャーナル

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クワガタのマイケル

1)ノコギリクワガタとの出会い

写真:ノコギリクワガタとの出会い

先日、会社から帰り自宅の玄関を開けようとした刹那、玄関下にこちらを威嚇する黒い物体が。
これは!と反射的に捕獲。
それがノコギリクワガタとの出会いでした。

2)妻と娘にマイケルのお披露目

写真:かわいいノコギリクワガタ

さて、昆虫であるマイケルは、妻と娘に受け入れられるのか?という不安が胸をよぎります。

社内の経営陣に対して説明する時よりも緊張しながら、肩にマイケルを乗せ、「ええい、ままよ!」というセリフと共にリビングの扉を開け放ちました。

結論から言うと、ノコギリクワガタは驚かれたものの意外に喜ばれ、無事ファミリーとして迎え入れられることになりました。

翌日には昆虫飼育ケースと昆虫ゼリーが準備され、クーラーの効いた部屋で栄養価のある食事を摂り、天敵がいない安全な環境で土に籠って寝るというスローライフを送ることになりました。

3)プリズン・ブレイク First Season:命名

写真:1回目の脱走(当時の再現写真)

数日後、仕事が長引き、遅い時間に帰宅した時のこと、妻も娘も寝静まり、リビングで一人で晩酌をしながら余韻に浸っていると、『ヴヴヴヴヴヴッ』という羽音が。その後、壁に何かがぶつかって落ちる音が聞こえました。セミが部屋に入ったかな?と、後ろを振り返ると、そこには逆さまになって倒れているノコギリクワガタが。

なぜ部屋の中を飛んでるんだ?と疑問に感じつつ、まずは捕獲してケースに戻そうとしたところ、ケースの蓋が開いている。

「こ、こいつ、プリズンブレイク(脱走)したのか!?」

翌朝、娘に確認すると、蓋はしっかり閉めていたとのこと。
クワガタの力はかなり強く、昆虫飼育ケースの蓋くらいなら開けて外に出てしまうようです。私もここ数年、営業の現場から離れ、事務所内での仕事が多くなり、昔と違って朝から晩まで一歩も外に出ない日も増えてきました。

外に出たいという気持ちに共感を覚えたことで、より一層の愛着が湧き、私が過去にハマった海外ドラマであるプリズン・ブレイクの主人公の名前をもらい、マイケル・スコフィールドと命名しました。

4)プリズン・ブレイク Second Season:策士孔明の策

写真:2回目の脱走(当時の再現写真)

前回のプリズン・ブレイク騒動から数日後、帰宅したところ、娘からマイケルが再度脱走した報告を受けました。すぐさま捜索隊を結成し、部屋中を捜索しましたが痕跡は一切見つからず、その日は捜索打ち切り。翌日も捜索隊(私、妻、娘)による決死の捜索活動を行うも発見には至らない事態となりました。

おそらく、もう見つからないだろう。次の引っ越しの時に見つかるのかなぁ。そう考え始めた時、娘からある施策を提案されます。

『部屋を暗くした中に懐中電灯を置いて、その横にゼリーも置いたら来るかも。』

子供が考えるレベルの罠にマイケルが引っ掛かる訳はないと思いながらも、折角の娘の提案を尊重することも大事(傾聴力)だと考え、懐中電灯とゼリーをセットし、部屋を暗くして就寝。

翌朝、目を覚まして懐中電灯をセットしたリビングに向かうと、夢中になってゼリーにかぶりついている黒い物体が・・・!?
マイケルっ!この食いしん坊っ!

策士孔明(娘)の策により、捜索3日目にして食いしん坊のマイケルは捕獲されました。

5)プリズン・ブレイク Final Season:『ショーシャンクの空に』

写真:3回目の脱走(当時の再現写真)

昆虫飼育ケースからの2度の脱走を受け、脱走対策を決断。飼育ケースの蓋をネットに変えると衝撃を外に逃がすことができ、力任せに蓋を開けるようなことはできないだろうと考え、試しに小さいケースに排水溝ネットを掛けた飼育ケースを準備しました。

しかし翌朝、ケースの様子を見るとマイケルの姿はありません。
おかしいと思い、ケースに被せた排水溝ネットをチェックすると、引き裂かれた丸い穴が・・・。
どうやらクワガタの最大の武器であるハサミを使い、排水溝ネットを切り裂いて脱走した模様です。

脱走への不屈の闘志はまさに『ショーシャンクの空に』を彷彿とさせるもので、アンディ役を演じるトム・ハンクスにしてやられた刑務所長の気持ちとなりました。
感心しつつ、捜索活動を開始。

3回目になると慣れたもので、捜索開始5分でカーテンにしがみ付いているマイケルを発見。カーテンにしがみ付いてなかなか離れないマイケルを、カーテン繊維がほつれるほどの力で捕獲し、歓喜の瞬間を迎えました。

もちろん、妻からは「もう少しうまく捕まえられなかったの?」というお叱りを受けております。

6)あとがき

マイケルとの3度の脱走劇を振り返り、ふと考えました。

クーラーが効き、昆虫ゼリー食べ放題、自分を襲う天敵もいない、安心・安全・安定の生活から何故逃げ出したいのだろうということ。単純に遺伝子を残すためにパートナー探しをするという生存本能(最終目標)によるものとは思いますが、リスクがある中に身を投じ、自分がやるべきことを理解した上で目標に突き進む姿勢には、学ぶべき部分が多いと、改めて考えさせられました。

クワガタムシ一匹の行動にここまで考えさせられるとは思いませんでしたが、私に気付きを与えてくれたこと、そして娘の情操教育の糧(生命を大事にすること)になってくれたことをマイケルに感謝したいと思います。

なお、本コラムを執筆する中で、マイケルの脱走行為を尊重したくなり、自然に返すことになりました。自然界で生きることは大変だと思いますが、彼の意向(おそらく子孫繁栄)を汲んだ上での決断です。マイケルがいない我が家は少し寂しい雰囲気となったものの、自由を得たマイケルを想像すると、少し気持ちも晴れやかにもなりました。

グッバイ、マイケル!


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
市原 が担当しました

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